ウズベキスタン灌漑農場における集中定点観測

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  • In situ measurements on irrigated farms in Uzbekistan

抄録

アラル海流域では,大規模な灌漑開発の影響で水需要量が増大し深刻な渇水問題が発生した.これは灌漑面積の増加に加え,灌漑効率が悪いことが原因である.しかし,使用可能な統計データが限られた当該地域では実際の灌漑操作について分からないことが多い.加えて近年では種々の水循環モデルが構築されており,灌漑スキームが結合されているが,観測事例の少ない途上国において農地レベルでの具体的な灌漑操作を正しく設定できているのか不明である. そこで,筆者らはウズベキスタンで気候条件の異なる二地点の試験農場において集中定点観測を行った.まずBayavut農場はシルダリア川中流域の年降水量200~300mmの半乾燥地帯に位置し,綿花,冬小麦,ソルガム,コメが塩性化土壌で灌漑されている.農場内ではBY2011とBY2012の2つのステーションが設置されている. Kyzylkesec農場は,キジルクム砂漠の年降水量約110mmの乾燥地帯に位置する.当地域にはソ連期に自噴井戸が複数作られ,その水を利用してアルファルファ,ソルグム,メロン,果物等の灌漑が小規模に行われている. 観測の結果,まず土壌水分量の変動をみると,BY2012において灌漑に伴って土壌水分量が変動しており,灌漑期には体積含水率0.4前後を下回らないように灌漑が行われている.観測が行われていた2012年6月から2013年6月の間に計5回の灌漑が行われ,土壌水分量の最低値には約2~3週間かけて低下している.灌漑期間は6月から8月であった.また,KZ2011では,気候が乾燥し土壌が砂質であるため蒸発強度や浸透強度が高いため灌漑の頻度が高く,年間に15~16回程度の灌漑が行われている. 次にEcの変化を見ると,まずBayavut農場においてリーチング操作の影響が土壌水分量の増加とEcの低下,地下水位の増加によって観測された.またBY2011では,年ごとにEcの値が増加している.毎年灌漑期を過ぎると春先まで増加し,その後リーチングの影響で低下する.BY2012においては,灌漑が行われるとEcも減少していることが分かり,灌漑操作自体も短期的にはEcを減少させるように作用することが分かる.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205711912960
  • NII論文ID
    130005491834
  • DOI
    10.11520/jshwr.28.0_100045
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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