洪水氾濫統合解析システム構築とその利用手法

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  • Fundamental Study on Development and Utilization of Integrated Runoff System

抄録

[研究の目的]<br>自然災害による犠牲者を一人でも減らすため、洪水災害や土砂災害の予測から避難警報に至るまでのプロセスをシステム化し、防災情報を必要とする人々が避難に対する意思決定を行う上での指針を示すことが最終目標であるが、今回は洪水氾濫シミュレーション部分を中心に述べる。<br>  <br>[システムの概要]<br>近年頻発するようになった大雨などによる洪水災害に備えるため、我々は流出予測及び氾濫予測を行うための流出氾濫統合システムを構築した。流出モデル及び氾濫モデルを統合し一元的に扱うため、両モデルの空間解像度、計算時間間隔は同一とする(前者は1km、後者は10分毎)。流出モデルから出力されるメッシュ毎の水位データ等が氾濫モデル入力データとなる。また地盤高データは10mDEMを使用し、下記の佐用川流域での大雨イベントにおける再現計算で使用した降雨データは1kmメッシュの解析雨量である。<br>  <br>[これまでの研究]<br>構築された洪水氾濫統合解析システムを実流域にあてはめ、再現性を評価する研究を行った。我々が取り上げたのは2009年8月に兵庫県佐用町で発生した水害である。出力結果(メッシュ毎の浸水深)の評価手法であるが、浸水深実績データとの比較に加えて平面二次元不定流モデルの出力結果と比較することで行った。平面二次元不定流モデルの空間解像度(50m)を基準にして、内・外水氾濫マクロモデルの空間解像度を50m、100m、1kmと変化させて計算精度を比較した。1kmメッシュの浸水深データは50mメッシュにダウンスケーリングした。<br><br> [今後の予定]<br>上記システムを用いて2011年8月下旬に発生した台風12号がもたらした紀伊半島豪雨の再現計算を行う。計算対象は十津川流域、降雨データは空間解像度2kmのメソアンサンブルデータを使用する予定である。この事例では洪水災害に加えて土砂災害の影響が大きかったため、洪水氾濫モデルから出力されるメッシュ毎の浸水深データに土砂災害の発生危険度分布を加味したデータ(複合災害に対する危険度を示すデータ)を作成し、避難モデルの入力データとする。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205712962176
  • NII論文ID
    130005050971
  • DOI
    10.11520/jshwr.26.0.28.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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