不在の「胎児」
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- 久保 裕子
- 東京大学大学院総合文化研究科
書誌事項
- タイトル別名
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- フィリピンにおけるプレグナンシーロスをめぐる言説を通して
抄録
現在のフィリピンにおいて、一部の医療機関に生殖技術が導入され、先進国での先例に基づき、ある一定の年齢層に対して出生前診断が推奨されている。他方、中絶行為自体は違法であるが、一部の避妊法の保証と(中絶後の)母体の保護を認めるリプロダクトヘルス法が2012年に制定された。これは社会問題となっている10代の妊娠や貧困女性の中絶の実情を考慮してのことといわれている。フィリピンではネオリベラリズムを背景に、「胎児」をめぐる社会的規範と実態とが多層的に矛盾している状況だ。本発表の目的は、「胎児」をめぐる問題の背景にある、錯綜したいくつかの言説、すなわち「権利」や「倫理」といった言説の歴史的変遷を確認し、そうした言説を辿っていくなかで、フィリピンにおいて「胎児」そのものは不在であったという発表者の仮説について検証するものである。
収録刊行物
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- 日本文化人類学会研究大会発表要旨集
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日本文化人類学会研究大会発表要旨集 2018 (0), 62-, 2018
日本文化人類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205713086208
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- NII論文ID
- 130006743685
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- ISSN
- 21897964
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可