洪水中の流水抵抗変化の分析とそれを踏まえた降雨流出解析

DOI
  • 工藤 俊
    国立研究開発法人土木研究所 水工研究グループ水文チーム
  • 萬矢 敦啓
    国立研究開発法人土木研究所 水工研究グループ水文チーム
  • 原田 大輔
    国立研究開発法人土木研究所 ICHARM

書誌事項

タイトル別名
  • Study of flow resistance and its influence on rainfall runoff process

抄録

本研究は洪水中の流水抵抗変化に着目し,これが流域内のハイドログラフに及ぼす影響を調べるものである.一般的に洪水時には,水位と流量の両方を的確に予測した上で種々の対応をすることが必要であるが,水位-流量関係は流水抵抗に大きく依存する.特に,山地河川ではステップ・プールや河床波の形成と消失,砂州,植生,巨石等の突起物の存在によって,流水抵抗は水深に強く依存して変化する.さらに,水位が高水敷の高さに到達する場合は低水路と高水敷の境界に発生する渦によって抵抗が発生する.一方,降雨流出解析における既往研究では流水抵抗は一定値のマニングの粗度係数で表現することがほとんどであり,それが流量及び水位に与える影響を詳細に検討した例は多くない.そこで,本研究では,小本川流域を対象とし,既往最大クラスの洪水における洪水中の流水抵抗を分析し,その上で分析結果を降雨流出モデルに反映させ,流量及び水位のハイドログラフに対する流水抵抗の影響を示すことを目的とした.なお,対象洪水は平成28年8月に東北及び北海道を中心に襲来し,小本川流域にも甚大な被害をもたらした台風10号によるものとした.<br /> 赤鹿地点における流水抵抗の分析の結果,低水路の河床波が遷移せずに発達すると過程した場合に,合成粗度係数は 0.061 m-1/3s まで上昇する結果となった.一方,遷移すると仮定した場合には 0.052 m-1/3sまで上昇する結果となった.また,降雨流出解析の結果,水位が特に流水抵抗に対する感度が大きく,これを考慮することで計算水位が実測水位を良く再現できる結果となった.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205713530752
  • NII論文ID
    130006236373
  • DOI
    10.11520/jshwr.30.0_76
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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