黄体期の黒毛和種雌ウシにおけるウシ型キスペプチン-10の性腺刺激ホルモン分泌刺激効果の検討

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  • Effects of bovine-type kisspeptin-10 administration on gonadotropin secretion in the mid-luteal phase in adult female Japanese Black cattle.

抄録

【目的】キスペプチン(メタスチン)は性腺刺激ホルモン放出ホルモン分泌を調節する神経ペプチドとして注目されている。これまで、キスペプチンのC末端部分ペプチドであるキスペプチン-10(Kp-10)のアミノ酸配列が霊長類以外の多くの哺乳類では保存されていること、また、Kp-10がキスペプチンの生理活性を示すことが報告されている。本研究では、ウシを用いて、ヒト型とはアミノ酸配列の異なるウシ型Kp-10の投与が黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌におよぼす効果を検討することを目的とした。【方法】実験には黒毛和種成熟雌ウシ4頭を用いた。発情観察日をDay 0とし、黄体期にあたるDay 9-16に、ウシ型Kp-10を静脈内(0.02または0.2 nmol/kg)または筋肉内(0.2または2 nmol/kg)に投与した。対照として、生理食塩水を静脈内または筋肉内に投与した。あらかじめ頸静脈に留置したカテーテルを通じて10分間隔の頻回採血を行い、ウシ型Kp-10の投与前4時間および投与後4時間の血漿中LHおよびFSH分泌の動態を調べた。【結果】0.2 nmol/kgのウシ型Kp-10を静脈内に投与した群では、LHおよびFSHの分泌が有意に亢進した。Kp-10投与による血漿中LH濃度の一過性の上昇は、内因性のLHパルスに類似していた。一方、0.02 nmol/kgのウシ型Kp-10を投与した群および対照群では、LHおよびFSHの分泌は投与前に比べて変化しなかった。また、2 nmol/kgおよび0.2 nmol/kgのウシ型Kp-10を筋肉内に投与した群では、LHおよびFSHの分泌に顕著な変化はみられなかった。以上より、黄体期にある成熟雌ウシにおいて、ウシ型Kp-10の静脈内投与によりLHおよびFSH分泌が用量依存的に刺激され、キスペプチンが新たな繁殖刺激剤として利用できる可能性が示された。本研究は生研センター「新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業」の一部として実施した。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205714072704
  • NII論文ID
    130007022410
  • DOI
    10.14882/jrds.102.0.1003.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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