レトロトランスポゾン構造を持った分泌型Ly-6ドメインタンパク質SOLD1のウシ胎盤における発現と特徴

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タイトル別名
  • Properties of secreted Ly-6 domain protein SOLD1 in bovine placenta

抄録

【緒言】栄養膜の発達、分化、着床、胎盤形成には既知のタンパク質だけでなく、未だ知られていないタンパク質が数多く関わりあっている。我々は新規キー遺伝子として、栄養膜の発達と胎盤形成に強く関わると推察される分泌型のLy-6ドメインを持った遺伝子を同定し、発現と特徴について検討した。【方法】胎盤のマイクロアレイ解析によって検索された新規分泌型Ly-6ドメインタンパク質を同定しSecreted protein of Ly-6 domain 1 (SOLD1)と命名した。mRNA発現をリアルタイムRT-PCR、in situハイブリダイゼーションによって検討した。SOLD1組み換えタンパク質並びに抗体を作成し、タンパク質の局在を免疫組織化学法によって検討した。細胞外マトリックス(ECM)との結合性、栄養膜細胞の分泌極性について検討した。【結果】 SOLD1 mRNAのCDSは303bpからなり、タンパク質が100aaからなることが推察された。タンパク質はN末端にシグナルペプチド22aaを持ち、78aaの成熟型タンパク質として分泌されると推察された。SOLD1は着床前から栄養膜細胞に発現し、妊娠後期まで長期間絨毛膜と絨毛叢に発現を認めた。発現細胞は栄養膜単核細胞であった。分泌されたSOLD1タンパク質は絨毛間充織に局在していた。絨毛間充織は多くのECMを含んでいることから、ECMとの結合性を検討したところ、主にタイプIコラーゲンのテロペプチド部位に結合することが判明した。ウシ栄養膜細胞BT-1を用いて同タンパク質の分泌特性を検証し、栄養膜基底側へ特異的に分泌されることを確認した。SOLD1のゲノム構造を検討したところ、Chr17においてイントロンレス構造を持ち、配列の両側に逆向きのAlu配列を持つことが明らかとなった。これらのことからレトロトランスポゾンであることが推察された。この構造はヒトやマウスのLy-6ファミリータンパク質では認められず、ウシSOLD1の特異的な構造であることが明らかとなった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205714328448
  • NII論文ID
    130007022682
  • DOI
    10.14882/jrds.102.0.1080.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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