体内受精、体外受精、および顕微授精に由来するラット前核期卵のDNA脱メチル化動態

書誌事項

タイトル別名
  • Different Kinetics of Paternal DNA Demethylation in Pronuclear Rat Zygotes Derived From In Vivo, In Vitro and Intracytoplasmic Sperm Injection

説明

【目的】受精直後に起こる雌雄それぞれのゲノムに特徴的な脱メチル化の進行とその後の適切なメチル化情報の書き込みは、胚の正常発生にとって重要である。本実験では、体内受精、体外受精 (IVF) および卵細胞質内精子注入法 (ICSI) によってラット前核期卵を作製し、雌雄それぞれの前核におけるDNAメチル化量の推移を免疫染色法によって調べた。 【方法】体内受精卵は、過剰排卵誘起して同系統雄と交配させた4~7週齢のSlc:SD雌ラットからhCG投与20、24、28時間目に採取した (体内受精区)。また、hCG投与20時間目に採取した体内受精卵をmR1ECMで4および8時間培養した (培養区)。体外受精卵は、hCG投与17時間目に回収した卵丘卵母細胞複合体と4時間の前培養を施した精巣上体尾部精子とを共培養することによって作製し、媒精開始から6、10、14時間培養した (IVF区)。顕微授精卵は、hCG投与17時間目の裸化卵母細胞に精巣上体尾部精子の頭部のみをPiezo-ICSIすることによって作製し、ICSIから6、10、14時間培養した (ICSI区)。それぞれの前核期卵を抗5-メチル化シトシンを用いて免疫染色し、続いてPIによって核染色を施した。そして共焦点レーザー蛍光顕微鏡下で画像を取得し、同一卵内の雌性前核の総輝度 (蛍光) に対する雄性前核の総輝度を相対値として求めた。 【結果】体内受精区では20時間目の平均相対輝度 (1.17) が24、28時間目 (0.31、0.24) には有意に下がり、培養区でも同様であった (0.24、0.14)。精子由来ゲノムの顕著な脱メチル化が起きたこの時期はIVF / ICSI区では10、14時間目のサンプルに相当する (前核サイズの比較より) が、平均相対輝度の6時間目から10時間目での低下はIVF区で1.04から0.53、ICSI区で0.92から0.62と、体内受精区ほど顕著ではなかった。IVF区やICSI区では数値のばらつきが大きく、14時間目でも相対輝度が0.80以上のサンプルがそれぞれ32%と26%を占めた。以上、ラット前核期卵における精子由来ゲノムの脱メチル化の進行は受精過程が体外で起こることにより影響される例が多かった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205714396416
  • NII論文ID
    130007022764
  • DOI
    10.14882/jrds.101.0.240.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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