ゼブラフィッシュ卵子における高浸透圧による傷害メカニズム
抄録
【目的】魚類卵子の凍結保存は未だ成功していない。その原因は,魚類卵子は高浸透圧に弱く,十分に脱水/濃縮ができないため,細胞内氷晶が形成されやすいからである。しかしながら,魚類卵子の高浸透圧に対する感受性が高い原因は不明である。Transient receptor potential チャンネルは,浸透圧等の細胞外の様々な刺激によって活性化してCa2+等の陽イオンを細胞内に流入させる。そこで本研究では,細胞内へのCa2+流入によって引き起こされる,Ca2+誘導性の小胞体からのCa2+放出が,高浸透圧による傷害に関与しているかどうかをしらべた。【材料および方法】成熟雌ゼブラフィッシュの卵巣からStage IとStage III中期の卵子を採取した。25oCでこれらの卵子を,Ca2+誘導性の小胞体からのCa2+放出に関与するリアノジン受容体の阻害剤を添加した0.5%BSA添加90%LM液(pH 9.0,以下LM液)で前処理し,25oCの0.5 M Sucroseを添加したLM液に5分間浸して高張処理したのち,Propidium iodide (PI) を用いた生死染色によって生存性を判定した。また,リアノジン受容体と同様に小胞体からのCa2+放出を行うイノシトール三リン酸 (IP3) 受容体の阻害剤を添加したLM液で前処理し,高張処理したのちに,PIを用いて生存性を判定した。【結果】無処理のStage IとStage III中期の卵子を高張処理した場合,いずれの卵子もほとんどが死滅した。リアノジン受容体阻害剤であるルテニウムレッドで前処理した場合,Stage IとStage III中期の卵子は45%以上が生存していた。また,IP3受容体阻害剤である2-APBで前処理した場合も,Stage IとStage III中期の卵子は約45%が生存していた。したがって,高浸透圧によって引き起こされる小胞体からのCa2+の放出が,高浸透圧による傷害に関与していると考えられた。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 107 (0), P-109-P-109, 2014
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205714925696
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- NII論文ID
- 130005475116
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可