制限給餌下のヤギにおけるニューロキニンB類縁物質の投与が黄体形成ホルモン分泌,卵胞発育および発情に及ぼす影響
抄録
【目的】 我々はヤギにおいてNeurokinin B類縁物質であるSenktide(SE)の投与が,黄体形成ホルモン(LH)の分泌を刺激して卵胞の発育を促進することを報告した。本研究では,制限給餌による低栄養が繁殖機能に及ぼす影響を調べると共に,SE投与の効果を検証した。【方法】黄体期のシバヤギにPGF2a製剤を投与した後,プロジェステロン腟内徐放剤(CIDR)を10日間留置した。CIDR留置日より維持量の50%(制限給餌群;n=9)あるいは100%(対照群;n=4)を15日間給餌した。制限給餌群には200 nmolのSE(n=4)あるいは生理食塩液(n=5),対照群には生理食塩液を,CIDR抜去後12hから4h間隔で7回静脈内に投与した。採血と超音波画像検査により血中性ホルモンおよび卵巣の変化を調べ,SE投与開始後24–96hまで6h間隔で発情の観察を行った。【結果】15日間の制限給餌により体重は13.9 ± 5.1 %低下し,CIDR抜去日における卵胞数(2.6±0.9 vs. 3.8±1.9個)および卵胞直径(3.5±0.3 vs. 3.9±0.5 mm)が対照群に比べて有意に減少した。SE投与後,LHおよびエストラジオール濃度の増加が認められた。対照群および制限給餌の生理食塩液投与群において発情は全頭で観察されたが,SE群では1頭のみに観察された。SE投与から排卵までの時間は,制限給餌の生理食塩液投与群より短い傾向があり(60.0 ± 24.0 vs. 86.4±13.1 h),排卵卵胞の最大直径は,SE投与群が対照群よりも有意に小さかった(4.4±0.8 vs. 5.1±0.6 mm)。【まとめ】本実験条件での給餌制限は,卵胞の発育を低下させたが発情や排卵への影響は認められなかった。また,制限給餌下におけるSEの投与は,LH分泌を促進して発情を呈さずに排卵時期を短縮することが示唆された。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 107 (0), P-118-P-118, 2014
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205714951680
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- NII論文ID
- 130005475127
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可