ウシ卵管機能制御の候補因子activin Aとその関連因子の発現

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抄録

【目的】 Activin (ACV) AはinhibinβA鎖 (INHBA) の二量体からなる糖ペプチドであり,局所調節因子として卵胞発育や着床に関与する。生体外におけるACVAのウシ初期胚発育促進作用が報告されていることから,卵管内においてもACVAが初期胚発育やその他卵管機能調節に重要な役割を担っていることが推察される。ウシ卵管におけるACVAの役割を検討することを目的に,関連因子の発現を調査した。【方法】1) ウシ卵管膨大部ならびに峡部の卵管液中のACVA,およびACV阻害作用を有するfollistatin (FST) のタンパク質発現,2) 膨大部および峡部組織におけるINHBAおよびFST mRNA発現,3) エストラジオール (E2: 0.1–10 nM) または プロゲステロン (P4: 1.0–100 nM) 存在下で24時間培養した上皮細胞のINHBAおよびFST mRNA発現,4) 卵管組織,培養上皮および間質細胞におけるACV受容体 (ACVR) のmRNA発現を解析した。【結果】1) 排卵周期を通じて,卵管液中にACVAおよびFSTタンパク質が確認された。2) 組織中INHBA発現は峡部で高かった。排卵周期を通じた膨大部組織のFST発現は排卵前後に低かった一方,峡部ではINHBA発現が排卵日に高く,FST発現は排卵後2–6日で高かった。3) 10 nM E2は峡部上皮細胞のINHBA発現を有意に刺激し,FST発現を抑制する傾向を示した。4) 卵管組織,培養上皮および間質細胞においてACVR発現が確認された。【考察】ACVA産生の増加またはACVA作用阻害因子であるFST産生の減少は,ACVA活性が上昇することを示唆する。排卵日におけるウシ卵管液中ACVA活性の上昇は,膨大部では受精に,峡部では精子の運動性等に関与しているのかもしれない。また,卵管上皮および間質細胞にもACVRが発現していたことから,ACVA が局所調節因子として作用する可能性が示された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205715047680
  • NII論文ID
    130005475184
  • DOI
    10.14882/jrds.107.0_or2-20
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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