卵胞嚢腫を自然発症した乳牛における嚢腫卵胞のturnoverに伴う血中インヒビン,卵胞刺激ホルモンおよびその他の性ホルモンの推移

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タイトル別名
  • changes in the peripheral concentrations of inhibin, fsh and other sex hormones during turnover of cystic follicles in dairy cows

抄録

[目的]牛の卵胞嚢腫において,嚢腫卵胞は周期的に新しい嚢腫卵胞と入れ替わる(turnover)ことが知られている。しかし,turnoverの機序やturnoverに伴う内分泌的な変化は不明な点が多い。本研究では,自然発症した乳牛におけるturnoverに伴う性ホルモン濃度変化について調べた。[材料と方法]酪農家で飼育され,卵胞嚢腫を自然発症した乳牛5頭(3~5歳,1~3産)を供試した。直腸検査および超音波画像診断を2~3日間隔で59~95日間行って卵巣の変化を調べ,同時に採血してプロジェステロン(P),エストラジオール‐17β(E2),黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH)およびインヒビン(inhibin)濃度をRIAにより測定した。卵胞嚢腫の診断は直腸検査および超音波画像検査により,2週間以上にわたって排卵および黄体形成が認められず,直径25mm以上の卵胞が存在し,血中P濃度が1ng/ml以下で推移したことにより行った。[結果]供試牛5頭中,卵巣および血中ホルモン濃度の変化が同様であった4頭における9回のturnoverについて解析した。その場合,次に嚢腫卵胞となる卵胞が直径8mmとなった日を基準日(Day0)とした。その結果,turnoverは平均26.4±4.2(SD)日で起こった。既存の嚢腫卵胞はDay-6~-1に腫大を停止し,E2とinhibin濃度はDay-6~-4からDay0に低値となり,FSH濃度はDay-6~-4からDay-3~-1に高値となった。次に嚢腫卵胞となる卵胞はDay0から発育してDay13~15には直径25mm以上の嚢腫卵胞となった。Day0以降はE2とinhibin濃度は増加してDay4~6にはDay0より有意に高い値(p<0.05)となり,FSH濃度は低値で推移した。turnoverの期間を通して,LHおよびP濃度はそれぞれ2ng/ml前後および0.5ng/ml以下で推移した。他の1頭ではturnoverが12,18日の短い周期で起こった。[まとめ]嚢腫卵胞の腫大停止・閉鎖退行時期に符合してE2およびinhibin分泌が減少し,FSH分泌が増加して,新たに嚢腫となる卵胞が発育することによりturnoverが起こることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205715071488
  • NII論文ID
    130007023531
  • DOI
    10.14882/jrds.100.0.12002.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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