受胎性の高い体外受精胚の選別指標を用いたウシ卵子の品質評価

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タイトル別名
  • Quality assessment of bovine oocyte using prognostic factors of selecting healthy in vitro produced embryos

抄録

【目的】演者らは,ウシ体外受精胚の発育速度,卵割様式および酸素消費量を指標とし,受胎性の高い胚盤胞の選別法を開発した。本研究ではこの胚盤胞の選別法に用いる3つの指標を用いて由来の異なる卵子の品質評価を試みた。【材料及び方法】本研究では由来の異なる2種類の卵子を用いた。1つは食肉処理場由来の卵巣を一晩20℃で保存し,翌朝卵子を吸引採取した(卵巣区)。もう1つは生体よりOvum pick-upにより採取した卵子を用いた(OPU区)。体外成熟,体外受精および体外培養は家畜改良センターマニュアル19に従い実施した。体外受精後,卵子は発育速度および卵割様式を記録するためWOWディッシュ(Sugimura et al, Biol Reprod 83: 970-978)およびリアルタイム培養細胞観察システム(CCM-1.3XYZ/CO2 ,Astec)に導入し,15min毎に写真を撮り168hまで培養した。発生した胚盤胞の酸素消費量は受精卵呼吸測定装置(HV-405SP,北斗電工)を用いて測定した。選別指標は媒精開始を基準とし,27hで2-cell且つフラグメントの無い胚,55hで6-cell以上に発育且つフラグメントの無い胚および168hにおける酸素消費量が0.9x10-14/mols-1以上の胚の3つを用い,由来の異なる卵子の発育についてその分布を調査した。【結果】各区における体外受精の卵割率および胚盤胞の発生率は卵巣区85.7%および35.3%,OPU区57.9%および31.7%であり,卵巣区が有意(P<0.05)に高い卵割率を示したが,胚盤胞の発生率に差は認められなかった。一方,選別指標をクリアした胚盤胞の割合は卵巣区では8.3%であったのに対し,OPU区では35.4%となり,OPU区で高く,卵子の由来の違いにより差が認められた。これらのことから,一晩20℃で保存した卵巣から採取した卵子は胚盤胞へ発生する能力を有するが,選別指標をクリアする胚の割合は低く,品質が低い可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205715281152
  • NII論文ID
    130005457644
  • DOI
    10.14882/jrds.105.0_1109
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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