タキキニンファミリーの神経ペプチドがGnRHパルスジェネレータに およぼす影響

DOI

Abstract

【目的】弓状核キスペプチンニューロンに共発現するニューロキニンB(NKB)は,GnRHの脈動的な分泌の制御に深く関与していることが示唆されている。近年,NKBと共にタキキニン神経ペプチドファミリーに属するサブスタンスP(SP)やニューロキニンA(NKA)が繁殖制御に関与していることが示唆されているが,その作用機作については不明な点が多い。本実験では,SPとNKAの特異的作動薬がGnRHパルスジェネレータ活動に与える影響を明らかにすることを目的とした。【方法】卵巣除去シバヤギ(n=5)を用い,弓状核キスペプチンニューロン近傍に記録電極を留置し,GnRHパルスジェネレータの神経活動を多ニューロン発火活動の一過性上昇(MUAボレー)として計測した。SPとNKAのそれぞれの受容体に対する特異的な作動薬GR73632とGR64349を,1000 nmol,200 nmol,陽性対照としてNKBの受容体に対する特異的な作動薬senktideを50 nmol,陰性対照として溶媒である生理食塩液を,2つの連続したMUAボレーの中点で静脈内に単回投与した。【結果】1000 nmolのGR73632,GR64349投与によって,各々,1頭(1/5),3頭(3/5)においてMUAボレーが誘起された。200 nmolではいずれの投与でもMUAボレーは誘起されなかった。一方,陽性対照においては,50 nmolの投与により全てのヤギ(5/5)でMUAボレーが誘起された。陰性対照ではMUAに変化は見られなかった。これらの結果から,末梢投与したGR73632およびGR64349は,GnRHパルスジェネレータの活動を上昇させる作用を持つことが示された。しかし,その作用は著しく弱いものであった。【考察】SPやNKAの関与は否定出来ないものの,GnRHパルスの産生機構においては,とりわけNKBが重要な役割を担っていることが示唆された。本研究は農林水産省「家畜ゲノムプロ」(REP-2001)の一部として実施した。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205715346048
  • NII Article ID
    130005475229
  • DOI
    10.14882/jrds.107.0_p-29
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top