ヒト退行期黄体に発現するBone morphogenetic proteins(BMPs)は,異なった発現制御をうける

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抄録

【目的】ヒト黄体の退行メカニズムは未だ不明な点が多い。我々はTumor growth factor β(TGFβ)superfamilyに属するActivin Aが,ヒト黄体の退行に関与することをこれまで報告してきた。本研究では,別のTGFβ superfamilyメンバーであるBone morphogenetic proteins(BMPs)のヒト黄体における発現動態と発現制御機構を明らかにすることを目的とした。【方法】英国エジンバラ大学にて同意のもと採取されたヒト黄体組織および体外受精のためにRoyal Infirmary of Edinburghに来院した患者より同意のもと提供された卵胞液を実験に用いた。黄体周期は,尿中黄体形成ホルモンの濃度を測定することにより同定した。一部の患者には,同意のもと黄体中期にヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を5−8日間持続投与して初期妊娠を模倣し,黄体を採取した。黄体組織および分離培養した黄体化顆粒層細胞(LGCs)を用いて,real-time PCR法と免疫組織化学により遺伝子および蛋白質の発現変化を解析した。【結果】ヒト黄体ではBMP-2, -4, -6が発現しており,黄体後期で顕著に発現増強した。すべてのBMPsはLHCGRおよびStARの発現を顕著に抑制し,hCGはin vivoin vitroいずれにおいてもすべてのBMPsの発現を抑制した。これらの結果はBMPsがヒト黄体の退行に関与することを示唆する。LGCsを用いて,BMPsの発現に関与するシグナル伝達経路を調べたところ,PKA経路の活性化はBMP-2およびBMP-4の発現を抑制するが,BMP-6の発現を増強した。一方,PI3 kinase経路の活性化はBMP-6の発現を強く誘導し,BMP-2の発現にも関与することがわかった。PKC経路の活性化はBMP-2の発現を著しく増強したが,BMP-4とBMP-6は発現が抑制された。本研究により,各BMPは異なったシグナル伝達経路により発現制御をうけることが明らかとなった。

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  • CRID
    1390001205715354624
  • NII論文ID
    130005051058
  • DOI
    10.14882/jrds.106.0.or1-7.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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