ウシ卵管におけるEndothelin発現制御メカニズム

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抄録

【目的】哺乳動物の卵管は配偶子および初期胚の輸送経路であり,輸送には卵管平滑筋の収縮弛緩運動が関与する。Endothelin (ET) は血管平滑筋収縮因子として知られており,ウシ卵管においても ET-1の産生ならびに平滑筋収縮作用が確認されている。本研究では,哺乳動物の卵管平滑筋収縮弛緩運動の制御機構を明らかにする目的で,ウシ卵管におけるETs の発現と発現調節因子について検討した。【方法】1) 排卵周期を通したウシ卵管組織膨大部および峡部におけるET-1,ET-2,ET-3およびET 変換酵素 (ECE) 1,2のmRNA発現量を解析した。2) ウシ卵管膨大部組織におけるETs およびECEsの局在を免疫組織化学的に解析した。3) ウシ卵管培養上皮細胞に黄体形成ホルモン(LH),Estradiol-17β (E2),Progesterone (P4) を添加し, 4h後のET-1,-2,-3および ECE1,2 のmRNA発現量の変化を解析した。【結果】1) 膨大部のET-1発現は,排卵日において黄体形成期および卵胞期よりも有意に高かった。ET-2発現は,排卵日および卵胞期において退行期よりも高い傾向が認められた。また,排卵日の ECE2 発現は卵胞期より高い傾向が認められた。2)上皮細胞にのみ ETs および ECEs の局在が認められた。3) 膨大部上皮細胞における ET-1 発現は, E2 によって増加傾向を示し, ET-2 は増加した。峡部におけるET-2 発現は, LH によって増加し, P4 によって増加傾向を示した。また,膨大部における ECE1 発現は LH,E2 および P4 によって刺激され, ECE2 発現は E2 および P4 に刺激された。以上より,ウシ卵管上皮細胞ではLH やE2,P4 の作用を受けて ECEが増加し,ET-1,-2 の合成が刺激されて卵管平滑筋の収縮弛緩運動に関与しているものと推察された。

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