ストレス条件下におけるグルココルチコイドの生殖機能維持機構の解明

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タイトル別名
  • Analysis of protective effects of glucocorticoid on reproductive function under stress conditions

抄録

【目的】<BR>従来、ストレス時に副腎皮質から多量に分泌されるグルココルチコイド(GC)は、生殖機能に対して抑制的に働くと考えられてきた。しかし、我々はこれまで、腫瘍壊死因子-αによる黄体形成ホルモン(LH)のパルス状・サージ状分泌の抑制が、GCにより逆に緩和されることを見出した。本研究では、感染・飢餓・拘束の3種類のストレス刺激を用いて、GCの生殖機能維持作用のストレス特異性を検討し、さらにその作用機序を明らかにすることを目的とした。<BR>【方法】<BR>実験には副腎摘出(ADX)あるいは非ADXの雌ラットを用い、頸静脈に採血用カニューレを留置した。採血はLHパルス観察では5分毎3時間、サージ観察では発情前期の12時から20時まで1時間毎に行い、LH濃度を測定した。感染・飢餓ストレス条件として、採血開始1時間後にそれぞれリポ多糖(0.5 μg/kg)、2-デオキシグルコース(100 mg/kg)を静脈投与した。拘束ストレスとしては、1時間の四肢の緊縛を行った。ADXラットの一部には、ストレス負荷と同時にコルチコステロン(CS 25 mg/kg)を皮下投与する群を用意した。パルスの観察では、さらにインドメタシン(IND 10mg/kg)静脈投与群を用意した。<BR>【結果】<BR>全ストレスに共通して、ストレス時に血中CS濃度が上昇する非ADXラットよりもCSの上昇が起こらないADXラットの方が、LHパルス・サージいずれも顕著に抑制され、この抑制はCSの投与により緩和もしくは完全に阻害された。これらの結果から、ストレス条件下でのLH分泌の維持に、内因性のGC濃度上昇が不可欠であることが示された。さらに、INDの投与は、全てのストレス条件下でCSと同様なLHパルス維持作用を示した。このことから、プロスタグランジン(PG)が今回用いた全てのストレス刺激の仲介物質として生殖機能を抑制する働きを持つこと、また、本実験で見られたCSのLHパルス維持効果はPGの生成阻害によるものであることを示唆している。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205715504384
  • NII論文ID
    130007023884
  • DOI
    10.14882/jrds.98.0.1.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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