クジラ精子の中心体に由来する星状体の形成とチューブリン繊維網の成長
書誌事項
- タイトル別名
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- Microtubule-organizing center derived from whale spermatozoal centrosomes
説明
【目的】げっ歯類を除く多くの哺乳動物種では受精時に精子によって持ち込まれた中心体から星状体ができ、そこから発達したチューブリン繊維網が雌雄両前核を卵子の中央に移動させる。本実験ではヒト精子中心体の機能解析に利用されるウシ卵子への異種顕微授精系において、南極海棲クロミンククジラの精子がもつ微小管形成中心 (MTOC) としての能力を評価した。<BR>【方法】-20℃で保存しておいたクジラ精子およびウシ精子を融解し、5 mM DTTで5~20分間処理した後、体外成熟ウシ卵子に顕微注入した。ICSI 4~6時間目に微小管安定化バッファーとメタノールで卵子を固定し、免疫蛍光染色によってα-チューブリンを、DAPIによって核を染色して精子星状体の形成卵率を求めた。またクジラ精子注入卵の一部は7%エタノール (5分) と2 mM 6-DMAP (4時間) の併用処理により活性化誘起し、ICSI 4時間目に星状体形成卵率とチューブリン繊維網の対卵子径比を調べた。<BR>【結果】クジラ精子から星状体が形成された卵子の割合は34% (10/29) で、ウシ精子由来の星状体形成卵率 (38%, 9/24) と同等だった。星状体形成卵のうち注入精子により活性化が起こっていたのはウシでは5例 (56%) だったのに対しクジラでは2例のみ (20%) だった。活性化処理を補足した場合、精子星状体形成卵率の増加 (38%, 11/29。対照区は27%, 6/22) はわずかだったが、チューブリン繊維網のサイズは0.09から0.55に改善された。以上、クジラ精子では中心体を起点として星状体ができ、そこからのチューブリン繊維網の成長には卵細胞質環境が影響することが示唆された。
収録刊行物
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- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
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日本繁殖生物学会 講演要旨集 98 (0), 131-131, 2005
公益社団法人 日本繁殖生物学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205715673728
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- NII論文ID
- 130007023991
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可