長鎖脂肪酸への暴露がマウス精子の運動性に与える影響

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抄録

【目的】G-protein-coupled receptor 120 (GPR120) は血中遊離脂肪酸をリガンドとするGタンパク共役型受容体である。これまでに当研究室では,マウス精子の頭部にGPR120 mRNAが発現していることを明らかにしている。本研究では,精子における長鎖脂肪酸受容体の局在ならびにその役割を解明する目的で実験を行った。【方法】実験にはICRマウスの精巣上体尾部より採取した精子を用いた。RT-PCR法により長鎖脂肪酸受容体GPR40とGPR120 のmRNA発現,免疫組織化学法により,GPR120タンパク質の局在を観察した。さらに,長鎖脂肪酸に暴露した精子をライブイメージングシステムでモニタリングし,鞭毛の打頻度等を指標にして運動性を調べた。 【結果】RT-PCRの結果,精子においてGPR120 mRNA発現は観察されたが,GPR40 mRNA発現は観察されなかった。蛍光染色の結果,GPR120タンパク質は精子頭部と中片部で観察された。精子を0.1mMの長鎖脂肪酸に20分間暴露した結果,飽和脂肪酸であるパルミチン酸に暴露した時,鞭毛の打頻度が減少した。以上より,マウス精子においてGPR120 mRNAは頭部に存在し,タンパク質は頭部と中片部に局在することが明らかとなった。また,長鎖脂肪酸は精巣上体尾部に貯留する精子の運動性に影響を与えることが示された。現在,長鎖脂肪酸受容体のアゴニストGW9508とアンタゴニストGW1100を用いて実験を行っている。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205715817600
  • NII論文ID
    130005051171
  • DOI
    10.14882/jrds.106.0.p-42.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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