選別Y精子を用いた体外受精由来第1卵割期ウシ胚における染色体分析

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  • Chromosome analysis in first-cleavage bovine embryos derived from <I>in vitro</I> fertilization using Y spermatozoa sorted by flow-cytometry

抄録

【目的】近年,黒毛和種およびホルスタイン牛の雌雄産み分け技術として,フローサイトメトリーによりX,Y精子に選別された凍結精液が利用され,計画的な子牛生産に有効性が示されている。我々はすでに選別Y精子を用いた体外受精由来ウシ胚盤胞における染色体分析結果を報告している。今回は,精子侵入時の染色体構成について明らかにすべく,選別Y精子により体外作出された胚の第1卵割期染色体標本を作製し分析した。【方法】体外受精には,同一の種雄牛個体から採取された精液で調整した選別精液(Y群)と非選別精液(対照群)とを用いた。常法に従い,体外成熟卵を用いた体外受精をそれぞれ行った。供試卵は,ビンブラスチン処理により第1卵割期中期で停止させ,常法に従って染色体標本を作製し分析した。【結果および考察】染色体標本として観察した体外受精卵は,Y群および対照群でそれぞれ82個および81個であり,このうち第1卵割期中期の染色体像が観察され,2n以上の染色体数を有するもの,または2個以上の前核を有するものを受精卵と判定した。その結果,受精率はY群では85.4%(70/82),対照群では82.7%(67/81)であった。染色体分析が可能であったものにおける正常2倍体胚の出現率はY群では61.6%(45/73),対照群では70.3%(52/74)であり,倍数性異常胚の出現率はY群ではn,3n,4n,5nがそれぞれ13.7%,16.4%,4.1%,4.1%,対照群では16.2%,6.8%,6.8%,0%であり,両群間に有意差は認められなかった。性染色体構成の解析結果は,2倍体胚においてY群ではXX1:XY35,対照群ではXX14:XY15であり,選別Y精子による胚はほとんど雄であった。また,倍数性異常胚は,Y群ではn(X3:Y1),3n(XYY6),4n(XXXX1:XYYY1),5n(XYYY?1:XYY??1),対照群では3n(XYY1),4n(XXXX1:XXYY1:XYYY1)であり,多倍体胚は多精子侵入によるものと考えられた。染色体の異数性について,Y群の5nの2個体において31本のものが認められ,またこれらの中期像において構造異常の断片化が2例認められた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205715886208
  • NII論文ID
    130007024203
  • DOI
    10.14882/jrds.104.0.1099.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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