新生仔期のステロイド環境が脳内メタスチンニューロン発現に及ぼす影響

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タイトル別名
  • The effect of neonatal steroids on the expression of metastin neurons in the rat brain

抄録

成熟雌ラットではエストロジェン(E)のポジティブフィードバック(PF)により黄体形成ホルモン(LH)サージが誘起されるが、去勢雄ラットではLHサージは誘起されない。一方出生日に去勢した雄ラットにおいて、成熟後の高濃度estradiol (高E2)投与によりLHサージを誘起できるが、新生仔期にEを処理した雌ラットでは、LHサージを誘起できない。このようにPF機構は、新生仔期の性ステロイド環境により決定される。LH分泌に対する強力な促進因子であるメタスチンニューロンの細胞体は、前腹側室周囲核(AVPV)および視床下部弓状核(ARC)に局在する。本研究の目的は、PFによるLHサージ誘起機構が雄において消失するのは、新生仔期の性ステロイドのメタスチンニューロンへの影響によることを明らかにすることとした。成熟後性腺除去を施した雌雄ラット(AD cast 及びAD OVX群)、出生日に去勢した雄ラット(D0 cast群)、及び生後10日間estradiol benzoateを処理した雌ラット(EB10群)を作成し、各群の半数に成熟後高E2処理を施し、脳内のメタスチンニューロン発現を免疫組織化学により検討した。成熟後のE2処理によりAVPVにおけるメタスチン免疫陽性細胞(Met-ir)数は増加した。D0 cast群のAVPVのMet-ir数は、AD OVX群と同程度であり、EB10およびAD cast群に比べて有意に多かった。また、EB10群とAD cast群ではAVPVのMet-ir数がともに少なかった。一方、ARCにおいては、成熟後にE2処理を施さない群では、EB10群以外の動物において多数のMet-irが観察され、その数に有意差がなかったが、成熟後のE2処理によりARCにおけるMet-ir数はいずれの群においても減少した。以上より、雄ラットにおけるPF機構の消失は、生後の性ステロイドによりAVPVのメタスチンニューロンが顕著に減少するためである可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205716105088
  • NII論文ID
    130007024536
  • DOI
    10.14882/jrds.99.0.92.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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