黒毛和種種雄牛の精子先体保有状況と体外受精成績

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タイトル別名
  • Sperm acrosome status and embryo development after in vitro fertilization in Japanese black bull

抄録

<p>【目的】現在,牛では凍結精液を用いた人工授精により子牛が生産されているが種雄牛により受胎率が異なることが知られている。精子の先体を明確に確認する方法として蛍光抗体による方法がある。本研究は精子先体の保有状況が受胎率に影響を及ぼすことが考えられるため蛍光抗体を用いて黒毛和種種雄牛精子の先体保有状況を調査し,体外受精をすることで胚発生に及ぼす影響を調べることを目的とした。【方法】宮城県畜産試験場繋養の黒毛和種種雄牛(12頭;13~124ヶ月齢)から精液を採取し一般検査後希釈しグリセリンを耐凍剤として凍結した。精子先体の検査は採取直後および凍結融解精子について実施した。先体の検査は精子とPropidium Iodideを混合しスライドグラスに塗抹しエタノールにて固定した。その後,FITC-labeled peanut(Arachis hypogaea)agglutinで30分間反応させ,洗浄後蛍光顕微鏡で観察した(実験Ⅰ)。染色した精子の判定は,赤く染色される精子核に対し先体は緑色蛍光を示し,先体の有無を1検体につき200以上調べた。体外受精は食肉処理場由来卵子を用いて実施した(実験Ⅱ)。【結果】実験Ⅰでは新鮮精子の先体欠損率は0.3~12.9%であった。月齢が高くなると先体欠損率が低くなる傾向があった。月齢と凍結融解後の先体欠損率には差がなかった。種雄牛毎の新鮮精液からの凍結融解後の先体欠損増加率は0.5~19.0%であり平均で3.6倍だった。実験Ⅱは先体欠損率の高かった種雄牛Dを含むA~Dについて実施した。精子の運動性には差はなかった。種雄牛Dの卵割率および胚盤胞率は他の3頭と比較し有意に低い成績であった。以上の結果から,若い種雄牛では先体欠損率が高く年齢を重ねるに従い先体欠損率は低い成績であった。また,先体欠損率が高い種雄牛が存在しその体外受精成績は低い成績であったことから種雄牛における先体の保有状況が胚発生に影響していることが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205716204928
  • NII論文ID
    130007024684
  • DOI
    10.14882/jrds.109.0_p-44
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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