ウシ黄体における galectin-3 の役割に関する研究

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  • Possible role of galectin-3 in the bovine corpus luteum

抄録

【目的】動物レクチンの一種である galectin-3 は細胞表面の糖鎖と結合し細胞のアポトーシスを調節することが知られている。我々はウシ黄体において発情周期を通じて galectin-3 発現が退行期に高く、黄体細胞に局在することを明らかにしてきた。このことから、galectin-3 は黄体細胞の生存を調節することで黄体退行に関与すると考えられるが詳細は明らかでない。本研究では、ウシ黄体における galectin-3 の役割を明らかにするために、galectin-3 の発現調節因子および黄体機能に及ぼす galectin-3 の影響について検討した。【方法】1) ウシ中期黄体から単離した黄体細胞に腫瘍壊死因子 (TNF: 50 ng/ml)、interferon γ (IFNG: 50 ng/ml) および prostaglandin F2α (PGF: 1 μM) を単独または組み合わせて添加し 24 時間後 galectin-3 mRNA およびタンパク質発現を定量的 RT-PCR 法ならびに western blot 法によりそれぞれ調べた。2) 黄体細胞に galectin-3 (0, 0.01, 0.1, 1, 5 μg/ml) および TNF+IFNG を単独または組み合わせて添加し 24 時間後の細胞生存率を WST-1 法により調べた。3) 黄体細胞に galectin-3 および黄体形成ホルモン (LH: 10 ng/ml) を単独または組み合わせて添加し 24 時間後の上清中のプロジェステロン (P4) 濃度を EIA により調べた。【結果】1) galectin-3 mRNA 発現は control 区と比較して PGF 添加区において有意に高かった。Galectin-3 タンパク質発現は control 区と比較していずれの添加区においても変化はなかった。2) 生存率は control 区と比較して 1 および 5 mg/ml の galectin-3 添加区において有意に低かった。また、galectin-3 は TNF+IFNG が誘導する細胞死に影響を及ぼさなかった。3) いずれの濃度の galectin-3 も基礎的および LH 刺激による P4 分泌に影響を及ぼさなかった。以上より、ウシ黄体において galectin-3 は PGF により発現が刺激され、黄体細胞の生存率を低下させることで黄体退行を促進する可能性が示された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205716255488
  • NII論文ID
    130005457660
  • DOI
    10.14882/jrds.105.0_207
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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