卵巣摘出シバヤギにおけるプロジェステロンと高エストロジェン処置がその後の低エストロジェン処置による発情発現と黄体形成ホルモン濃度に及ぼす影響

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タイトル別名
  • The response in estrus expression and luteinizing hormone surge to administration of low dose of estrogen in ovariectomized Shiba Goats pretreated with progesterone and high dose of estrogen

抄録

【目的】牛の分娩後の鈍性発情は妊娠末期の高エストロジェン(E)濃度と関連し、プロジェステロン(P)は回復作用を持つことが示唆されている。本研究では卵巣摘出したシバヤギに妊娠末期を模倣してPと高E処置を行った後、卵胞期レベルを模倣して低E処置を行い、発情行動および性ホルモン環境を調べ、鈍性発情の発生機序を追究した。【方法】卵巣摘出したシバヤギ6頭を用いて交差試験行った。A群(n = 6)は、妊娠末期模倣処置として11日間のP腟内徐放剤(CIDR; P 0.3g含有)留置と安息香酸エストラジオール(EB) 200μg/kg/day 筋肉内注射、およびその後3日間の同用量EB注射を行い、20日後に、卵胞期模倣処置としてEB 2μg/kgを単回筋肉内注射した。B群(n = 6)は、A群の処置に加え、妊娠末期模倣処置終了後11日からCIDRを8日間再留置した。対照群(n = 6)では、A群の妊娠末期模倣処置においてEBの代わりに生理食塩液を注射した。卵胞期模倣処置後に雄ヤギを用いて6時間間隔で試情して発情を、3時間間隔で採血して黄体形成ホルモン(LH)濃度推移を調べた。【結果】発情がA、B、対照群それぞれ1、3、6例において処置後18.0、16.0±1.6、17.0±0.9(S.E.M.)時間に発現した。持続時間は6.0、16.0±4.3、20.0±1.2時間であった。またLHサージ(基底濃度+2SD以上が6時間以上持続)がA、B、対照群それぞれ5、5、6例に見られ、処置後12.0±0、12.0±1.5、13.0±0.6時間に開始した。ピーク値は24.2±7.3、10.5±2.7、61.1±7.5ng/mlであり、A、B群は対照群よりも低かった。発情が発現しなかった8例中6例でもLHサージが見られ、2例ではLHサージは見られなかった。【まとめ】妊娠末期の高E環境は、分娩後早期における卵胞期レベルのEによる発情ならびにLHサージの発現に抑制的に作用すること、またP感作は高E濃度の発情抑制作用を緩和する可能性が示された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205716341888
  • NII論文ID
    130007024866
  • DOI
    10.14882/jrds.104.0.320.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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