マウス下垂体のゴナドトロフに局在する長鎖脂肪酸受容体GPR120発現におけるエストロジェンとプロジェステロンの役割

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  • Effect of estrogen and progesteron on the expression of long chain fatty acid receptor GPR120 in mouse gonadotrophs

抄録

<p>【目的】G protein-coupled receptor 120(GPR120)は長鎖脂肪酸をリガンドとするGタンパク質共役型受容体である。これまでに,マウス下垂体のゴナドトロフにGPR120が局在することを報告している。本研究の目的は,卵巣由来の性ステロイドホルモンがゴナドトロフのGPR120発現に与える影響を明らかとすることにある。【方法】実験には10週齢のICR成熟雌マウスを用いた。卵巣摘出群(OVX),卵巣摘出後,皮下にエストロジェン(250 ng/100 μl)を5日間投与した群(OVX+E2),皮下にプロジェステロン(2 mg/100 μl)を5日間投与した群(OVX+P),皮下にエストロジェンとプロジェステロンを5日間投与した群(OVX+E2+P)およびGnRHアンタゴニストであるセトロタイド(10 μg/200 μl)を3日間投与した投与した群(OVX+C)の下垂体よりRNAを抽出し,GPR120 mRNA発現量を定量した。また,凍結組織を用いて黄体形成ホルモン(LH)とGPR120の蛍光2重染色を行った。【結果】OVXとOVX+PのGPR120 mRNA発現量は,発情休止期群に比べて統計的有意に増加し,OVX+E2で増加は観察できなかった。また,OVX+PのGPR120 mRNA発現量は,OVXに比べて有意に増加した。さらに,OVXとOVX+CのGPR120 mRNA発現量に有意な変化は観察できなかった。免疫染色の結果,全ての群においてGPR120免疫陽性細胞の97%以上がLHと共存しており,94%以上のLH含有細胞がGPR120免疫陽性であった。以上より,卵巣由来のエストロジェンは,マウスゴナドトロフのGPR120発現を制御し,プロジェステロンは促進する因子であることが明らかとなった。さらに,セトロタイドを用いた実験から,エストロジェンやプロジェステロンはマウス下垂体に直接作用し,その調節にキスペプチンや性腺刺激ホルモン放出ホルモンは関与しないことが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205716371072
  • NII論文ID
    130007024914
  • DOI
    10.14882/jrds.109.0_p-24
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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