平衡ガラス化法によるマウス卵子の凍結保存の試み
書誌事項
- タイトル別名
-
- A trial to cryopreserve mouse oocytes by equilibrium vitrification
説明
【目的】マウスの未受精卵は,凍結融解時に細胞内氷晶が形成されやすい。マウス胚で考案された平衡ガラス化法では,従来のガラス化凍結法と比べて,細胞をより脱水・濃縮した状態で凍結するため,凍結融解時に細胞内氷晶が形成されにくい。そこで本研究では,平衡ガラス化法によってマウス未受精卵の凍結融解後の生存性が向上するかどうかしらべた。【材料および方法】ICR系雌マウスから成熟卵子を採取し,卵丘細胞を除去して実験に用いた。非平衡ガラス化溶液として,30% (w/v)Ficoll 70 + 0.5 M Sucrose/PB1液 (FSa液)に,40% (v/v)Ethylene Glycol (EG)を添加したEFS40a,あるいは20% EG + 20% (v/v)DMSOを添加したEDFS20/20aを,平衡ガラス化保存液として,FSa液よりもSucrose濃度の高い (1.5 M)FSc液に20% EG + 20% DMSOを添加したEDFS20/20cを用いた。卵子を25℃の20% EGあるいは10% EG + 10% DMSOを含む溶液で前処理し,同温度のEFS40a,EDFS20/20aあるいはEDFS20/20cで20~60秒間処理した後に,ストローを用いてガラス化凍結した。25℃の水中で融解し,0.25~0.5 M Sucrose/PB1液で耐凍剤を除去したのち,卵子の形態から生存性をしらべた。生存卵子は,体外受精して受精率をしらべ,受精卵は培養して桑実胚への発生率をしらべた。【結果】EFS40aでガラス化凍結した場合は,凍結融解直後の生存率は約40%と低く,受精しなかった。EDFS20/20aでは,融解直後は約60%が生存し,約30%が受精したがほとんどが桑実胚まで発生しなかった。一方,EDFS20/20cでは,約85%が生存し,42%が受精して16%が桑実胚まで発生した。以上の結果から,平衡ガラス化法では従来のガラス化法と比べてマウス卵子を高い生存性と発生能を保持したまま凍結保存できることがわかった。
収録刊行物
-
- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
-
日本繁殖生物学会 講演要旨集 108 (0), P-109-P-109, 2015
公益社団法人 日本繁殖生物学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205716583424
-
- NII論文ID
- 130005492047
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可