牛の周排卵期における非ステロイド系抗炎症薬投与後の排卵および黄体形成

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  • Ovulation and luteinization after administrations of non-steroidal anti-inflammatory drug (NSAID) during periovulatory period in cows

抄録

【目的】哺乳類において排卵は卵子成熟、卵胞破裂、黄体形成などの一連の現象として捉えられ、それにはプロスタグランジン(PG)が関与していると考えられている。本研究では周排卵期の乳牛にPGの産生を抑制する非ステロイド系抗炎症薬であるフルニキシンメグルミン(FM)を投与し、その後の卵巣の変化について検討した。【方法】発情周期を正常に営んでいるホルスタイン種乳牛2頭を反復供試した。排卵後12-13日にPGF(ジノプロスト) 20 mg、その54時間後に性腺刺激ホルモン放出ホルモン類縁物質(酢酸フェルチレリン;GnRH-A)20 µgをそれぞれ筋肉内注射した。FM 1,250 mg/ 25 mlを3例にはGnRH-A投与後23時間(FM23h群)、2例にはGnRH-A投与後27時間(FM27h群)、3例には排卵確認直後(FMOV群)から、それぞれ12時間毎に合計10回静脈内投与し、卵巣の変化を直腸検査と超音波画像検査を行って調べた。【結果】全群でPGF投与後に黄体の退行と第2次主席卵胞の発育が起こり、GnRH-A投与時に発育卵胞直径は10-14 mmとなった。その後卵胞はFM23h群では全例においてGnRH-A投与後42時間まで排卵せず、その後も大きさを増し、GnRH-A投与後3-5日には直径25 mmを超える嚢腫化構造物となった。FM27h群ではいずれもGnRH-A投与後30時間に、FMOV群では全例において同30-33時間に排卵し、いずれも発育良好な充実した黄体が形成された。FM23h群の嚢腫化構造物はGnRH-A投与後19-23日に退縮し始め、同23-24日に次回排卵が、FM27hおよびFMOV群では排卵後18-20日に黄体は退行し始め、同20-24日に次回排卵が起こった。【まとめ】FMをGnRH-A投与後23時間から投与した場合は排卵が抑制され、嚢腫化構造物となること、同27時間および排卵直後から投与開始した場合には排卵後に発育良好な黄体が形成されることが認められた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205716677888
  • NII論文ID
    130007025251
  • DOI
    10.14882/jrds.99.0.47.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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