大阪府箕面市温泉町産含水塩基性硫酸亜鉛鉱物について
書誌事項
- タイトル別名
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- Zinc sulfate hydroxide hydrate from the Hirao mine at Minoo, Osaka, Japan
説明
一般式Zn4(SO4)(OH)6・mH2Oで示される亜鉛の塩基性硫酸塩は,合成物ではm=0, 0.5, 3, 4, 5の5種が報告されている(Jacob and Riquier, 1969; Bear et al., 1986, 1987)。天然ではm=4で,CuがZnの一部を置換したnamuwite(e.g. Bevins et al., 1982; Groat, 1996)のみが報告されている。今回,大阪府箕面市温泉町の平尾旧坑から,これまでに天然では報告のない合成Zn4(SO4)(OH)6・5H2Oとほぼ一致する性質をもつnamuwite類似の含水塩基性硫酸亜鉛鉱物を見出したので,その産状および鉱物学的性質について報告する。<BR> 箕面産含水塩基性硫酸亜鉛鉱物は湿った旧坑内の坑壁表面,またはchlorite化した母岩の裂罅に,sphaleriteなどの分解による二次生成物として,最大2mmの六角薄板状結晶をなして産出した。坑壁の表面には薄板状結晶が鍾乳状に集合したものがみられた。共存鉱物はhydrozincite,smithsonite,namuwiteである。肉眼的には淡青ないし無色,透明ないし半透明で真珠光沢を示す。鏡下では無色ないし淡青色透明で,一方向に完全な劈開がみられる。主なX線粉末回折値[dÅ(I)(hkl)]は,10.93(100)(001),2.723(26)(3-10),1.576(24)(1-50),3.642(20)(003),2.560(16)(-311),4.16(14)(1-20),5.47(12)(002),3.236(12)(-122),3.409(10)(1-13),3.285(10)(013),2.673(10)(121),3.409(10)(1-13),3.285(10)(013),2.673(10)(121)で,Bear et al.(1987)に基づいて三斜晶系として求めた格子定数は,a=8.36(3),b=8.35(3),c=11.02(1),α=94.1(3),β=83.0(2),γ=120.0(3)°である。KBr錠剤法によるIRスペクトルは,3400cm-1付近および1620cm-1付近に水,1120cm-1付近に[SO4]による吸収を示した。EPMAによる化学分析の平均値は,ZnO 51.34,CuO 7.25,FeO 0.13,MnO 0.12,NiO 0.12,CoO 0.02,SO3 15.84,H2O 25.18 (差),total 100 wt%で,O=15としたときの実験式は(Zn3.481Cu0.503Fe0.010Mn0.009Ni0.009Co0.001)Σ4.010(SO4)1.092(OH)5.843・4.79H2Oである。Zn/(Zn+Cu) は0.82-0.93を示した。
収録刊行物
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- 日本鉱物学会年会講演要旨集
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日本鉱物学会年会講演要旨集 2003 (0), 134-134, 2003
一般社団法人 日本鉱物科学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205732201728
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- NII論文ID
- 130007040011
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可