西南日本外帯広域変成マンガン鉱床産 strontiomelane, barianstrontiopiemontite, およびhennomartiniteについて
書誌事項
- タイトル別名
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- Strontiomelane, barianstrontiopiemontite and hennomartinite from the regional metamorphic manganese ore deposits in the outer zone of Southwest Japan
抄録
西南日本外帯を占める三波川帯、御荷鉾帯、長崎変成岩帯に分布する紅簾片岩中には、小規模ながら多数の広域変成マンガン鉱床が胚胎している。代表的な鉱床として三波川帯:眉山、細野、成寿、朝日、古宮、上須戒鉱床、御荷鉾帯:藤の川鉱床、長崎変成岩帯:三重、村松、戸根鉱床などが知られている。主要鉱石の鉱物組合せはbraunite + hollandite + piemontite + quartzである。白竜、細野、上須戒東鉱床など一部の鉱床においてはbraunite + sursassite + ardennite + spessartine + piemontite + quartzのやや特異な鉱物組合せを持つ鉱石が産出する(皆川, 1992)。これまで変成マンガン鉱床に対し多くの調査検討がなされているが(例えば吉村,1969,宮久,1969,皆川,1992)、本報告では西南日本外帯変成マンガン鉱床から最近産出が確認されたstrontiomelane、barianstrontiopiemontite、hennomartiniteの化学的特徴について報告する。これらの鉱物は本地域の変成マンガン鉱床において普遍的に産する可能性が高い。<br> StrontiomelaneはMeisser et al.(1999)によって最初に見いだされたcryptomelaneのSr置換体である。本邦においても長崎県戸根鉱床、愛媛県細野鉱床からの産出が既に報告されている(皆川ら, 1998)。戸根鉱床産strontiomelaneはstrontiomelane成分80% - hollandite成分20%であり、最もstrontiomelane成分に富む。Hollanditeは本地域のbraunite変成鉱床の大半から見いだされており(皆川,1992), 成寿鉱床や細野鉱床においては主要鉱石として産出している。これらhollandite全てにSrが含まれている。strontiomelane - hollanditeはbrauniteと縞状構造をなし、あるいは後退変成作用によって生成した分泌石英脈中に繊維状~針状結晶をなす。Sr-Ba-K-Na間において複雑な置換関係を示すが、一般的にlater stage に生成したhollanditeほどSrに富む傾向が強い。<br> Piemontite - strontiopiemontiteはA1A2サイトがCaCa - CaSrのMnに富むepidote group 鉱物であり、本邦からは加藤・松原(1986)、赤坂ら(1995)によって報告されている。本地域のマンガン鉱床からは皆川(1992)によって報告されている。今回、本地域の変成マンガン鉱床から産するstrontiopiemontite(上須戒、戸根、古宮鉱床など)の再検討を行ったところ、Baに富むstrontiopiemontiteが見いだされた。StrontiopiemontiteのBa量は、上須戒鉱床において最大であり6.0wt%に達し、 Ba/Ba+Sr比はほぼ0.25である。この結果、これまで知られていなかったBa端成分のpiemontiteが存在する可能性が推測される。また、本地域のマンガン鉱床産strontiopiemontiteはpiemontiteよりMnに富み、Mn>Al>Feの特徴的な組成を持つ。<br> Strontiomelaneと密接に共生する鉱物としてstrontiopiemontiteやpiemontiteが一般的であるが、hennomartiniteの産出が戸根鉱床において確認された。Hennomartiniteはlawsoniteグループに属するSr, Mn silicateであり、同族にはlawsoniteの他にitoigawaite(Miyajima,1999), noelbensonite(Kawachi et al.,1996)などが知られている。Hennomartiniteは分泌石英脈中に0.1mm以下の黄褐色柱状結晶をなす。Ba、Caによる置換は少ないが、SrAl成分あるいはSrFe成分の固溶がかなり認められる。
収録刊行物
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- 日本鉱物学会年会講演要旨集
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日本鉱物学会年会講演要旨集 2003 (0), 131-131, 2003
一般社団法人 日本鉱物科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205732203904
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- NII論文ID
- 130007040015
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可