下部マントル条件下における(Mg,Fe)SiO3ペロブスカイトとマグネシオウスタイト間のFe-Mg分配

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  • Fe-Mg partitioning between (Mg,Fe)SiO3-perovskite and magnesiowüstite under lower mantle condition

抄録

下部マントルは主に(Mg,Fe)SiO3ペロブスカイトとマグネシオウスタイトで構成されていると考えられており、これらの相中のFe含有量は密度や相転移などに影響を及ぼすと考えられる。したがって、これらの相中のFe含有量を知ることはマントルダイナミクスを理解するうえで非常に重要である。このような理由から、(Mg,Fe)SiO3ペロブスカイトとマグネシオウスタイト間のFeとMg分配については、これまでに多くの研究がなされている。しかし、温度依存性については系統的に調べられたものは少ない。そこで本研究では、高温高圧実験により、広い温度範囲で(Mg,Fe)SiO3ペロブスカイトとマグネシオウスタイト間のFeとMgの分配を決定した。高温高圧実験には愛媛大学設置のマルチアンビル型高圧発生装置を使用し、_から_24 GPa、1400℃から2000℃の条件下で実験を行った。出発物質には(Mg0.91Fe0.09)2SiO4組成のSan Carlos olivine、合成したFo80、Fo70、Fo60を粉末にしたものを使用した。回収した試料はSEM、EDS、微小部X線回折装置を用いて相の同定と化学組成の分析を行った。本実験の結果、(Mg,Fe)SiO3ペロブスカイトとマグネシオウスタイト間の分配係数KD=(Fe/Mg)Pv/ (Fe/Mg)Mwは温度の増加と共に大きくなり、San Carlos olivine においては、1400℃から2000℃の間で0.19から0.34へと変化した。また、ある一つの温度において、温度保持時間によってKDは変化した。 本研究の結果から、温度は(Mg,Fe)SiO3ペロブスカイトとマグネシオウスタイト間のFeとMgの分配に大きく影響を及ぼすことがわかった。これは、下部マントルのダイナミクスを推定する場合、この効果を考慮する必要があることを示している。また、温度保持時間による分配係数の変化から、相間の化学平衡状態について検討する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205732687360
  • NII論文ID
    130005053245
  • DOI
    10.14824/kobutsu.2005.0.16.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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