成人アトピー性皮膚炎の入院療法における病勢マーカーの検討

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タイトル別名
  • Study of Disease Markers in Adult Patients with Atopic Dermatitis Receiving Inpatient Therapy
  • セイジン アトピーセイ ヒフエン ノ ニュウイン リョウホウ ニ オケル ビョウセイ マーカー ノ ケントウ

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抄録

成人アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis:AD)の入院療法における病勢マーカーについて検討した.対象は当院皮膚科に2009年3月から2010年1月までに,急性増悪ないし重症例のため入院加療した成人AD 26名である.年齢は17~48歳(平均値±SD:28.7±8.0歳),性別は男性10名,女性16名で,入院期間は7~25日(13.0±3.5日)である.方法は,入院時(第2病日)と退院時の早朝(7時~8時)に血清コルチゾール値,血漿adrenocorticotropic hormone(ACTH)値,血清thymus andactivation-regulated chemokine(TARC)値,血清lactate dehydrogenase(LDH)値,末梢血好酸球数を測定し,比較検討した.さらに,日本皮膚科学会(日皮会)AD重症度分類,痒みのVisual analoguescale(VAS)値,Skindex-16,Dermatology Life Quality Index(DLQI)に関しても比較検討した.結果は,入院時に低値を示した血清コルチゾール値と血漿ACTH値はともに有意な増加を示し,入院時に高値を示した血清TARC値や血清LDH値は有意に減少した.一方,末梢血好酸球数は減少するも有意差を認めなかった.また,日皮会AD重症度分類,Skindex-16,DLQIおよび痒みのVAS値は有意に減少した.今回の検討で,2週間程の短期入院における血中病勢マーカーは血清コルチゾール値,血漿ACTH値,血清TARC値,血清LDH値が有用であった.これらの中で,血清TARC値は全例において入院時から退院時に減少し,測定幅を考慮すると,血清TARC値が重症度と改善度の評価を最も反映するマーカーと考えた.その他のマーカーとして日皮会AD重症度分類,Skindex-16,痒みのVAS値およびDLQIが有用であった.

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