粘着フィルムによる植皮片固定法

  • 河崎 玲子
    独立行政法人国立病院機構九州医療センター皮膚科・アレルギー科・臨床研究部
  • 亀井 恭子
    独立行政法人国立病院機構九州医療センター皮膚科・アレルギー科・臨床研究部
  • 安川 史子
    独立行政法人国立病院機構九州医療センター皮膚科・アレルギー科・臨床研究部
  • 加藤 しおり
    独立行政法人国立病院機構九州医療センター皮膚科・アレルギー科・臨床研究部
  • 細川 知聡
    独立行政法人国立病院機構九州医療センター皮膚科・アレルギー科・臨床研究部
  • 斉藤 知子
    独立行政法人国立病院機構九州医療センター皮膚科・アレルギー科・臨床研究部
  • 今山 修平
    独立行政法人国立病院機構九州医療センター皮膚科・アレルギー科・臨床研究部

書誌事項

タイトル別名
  • New Dressing Technique for Free Skin Graft with Transparent Adhesive Tape
  • ネンチャク フィルム ニ ヨル ショクヒヘン コテイホウ

この論文をさがす

説明

タイオーバー(tie over)法は,遊離植皮術の際の固定法として広く使用されているが,除去までの約1週間は植皮片の状態を観察できない.そのためタイオーバー下で生じ得る出血や壊死への早期対応ができないという欠点がある.そこで近年発達した透明の粘着フィルムを利用して,以下の固定法を考案して実施した.すなわち,①植皮片の縫合糸は一般縫合と同様に短く切る.②植皮片より2 cmほど大きめに切り抜いた透明粘着フィルムにて,植皮片全体を周囲皮膚と固定する.③そのフィルムの上に,圧迫のためのテフロン綿を当て,④最後に,そのテフロン綿の2~3倍の面積の透明フィルムまたは粘着テープにて全体を固定する.この方法を2005年以降10例の植皮術に試行し(分層植皮3例,メッシュ植皮1例,全層植皮6例),8例で完全な生着が得られた.不完全生着の2例では植皮片の一部が遊離したものと術後安静が不良で一部の壊死がみられた.本法は透明粘着フィルムを用いるため,①植皮片の観察が容易であり,出血・感染の対策が早期に行えること,②手技が簡便で手術時間の短縮になること,③縫合部のみならず植皮部を中心にその周囲2~3倍の面積の皮膚が(上層のフィルムにて固定されるため)安静を保持できること,などの利点がある.逆に欠点としては,凹凸面や可動部位では植皮片の安定が困難であること,圧迫が軽度であるために細かな止血が求められることが挙げられる.

収録刊行物

参考文献 (5)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ