不適切な湿潤療法による被害いわゆる“ラップ療法”の功罪

書誌事項

タイトル別名
  • Severe Complication Associated with Inadequate Wet Dressing Therapy: Benefits and Risks of So-Called “Wrap Therapy”
  • フテキセツ ナ シツジュン リョウホウ ニ ヨル ヒガイ イワユル ラップ リョウホウ ノ コウザイ

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説明

近年,創傷管理の基本理論の1つとしてmoist wound healingというキーワードがあげられている.そして,本邦では,その理論をもとに,食品用のラップを用いて簡便に湿潤環境を作り出す,いわゆる“ラップ療法”が広く行われるようになっている.“ラップ療法”は,医療材料でないものを使用するという問題点は残るものの,創傷管理の正しい知識をもった医療従事者が施行すれば,安価で有用な治療法の一つであろう.しかし,どんな傷も簡単に治る万能な治療法と誤解し,適応を考えずに“ラップ療法”を施行している医療従事者も多い.“ラップ療法”の恩恵を受ける患者がいる裏側に,被害者が生まれている事実があることも忘れてはならない.本稿では,不適切な湿潤療法を施行され,重篤な感染症が続発した象徴的な5症例を供覧し,安易な湿潤療法の施行に警鐘を鳴らしたい.

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参考文献 (25)*注記

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