ヒト爪母細胞の培養法

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手術により得た爪母より,explant culture,dispersed cell culture,およびゲル内での三次元的なexplant cultureの3方法でヒト爪母細胞を培養した.Explant cultureではⅣ型コラーゲンをコートしたシャーレ上でも無処理シャレー上でも初期には細胞は同様に増殖したが,無処理シャーレでは細胞が早期より角化(細胞の大型化と脱核)した.Dispersed cell cultureではⅣ型コラーゲンをコートしたシャーレとⅣ型コラーゲンをコートしたⅠ型コラーゲン膜上でともに細胞は増殖したが,plating efficiencyは前者では約0.2%,後者では約0.5%であった.また前者では角化が早く始った.無処理シャーレ上でも細胞は接着したが増殖しなかった.培養経過中にコロニー内で細胞が積み重なり,程度の差はあれ,ドーム状に盛り上る現象が,explant culture,dispersed cell cultureでみられた.コラーゲンゲル内での三次元的なexplant cultureでは全方向に向かって細胞が出現し,樹枝状に増殖した.電顕所見ではケラトヒアリン顆粒はみられず,コラーゲン膜と細胞間に基底模様構造もみられなかった.培養細胞の抗毛ケラチンモノクローナル抗体を含む各種抗ケラチン抗体に対する反応は,組織爪母細胞と同様で,表皮基底細胞,表皮有棘細胞,培養表皮細胞のいずれとも異っていた.爪母細胞は表皮細胞や外毛根鞘細胞とほぼ同じ条件でよく増殖し,表皮細胞とは異った性質を有することがわかった.

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