癩患者血清に対するカルボール反応について

書誌事項

タイトル別名
  • ライカンジャ ケッセイ ニ タイスル カルボール ハンノウ ニ ツイテ

この論文をさがす

抄録

結核における免疫血清反応としては,種々の抗原による凝集反応,補体結合反応,沈降反応等が行なわれているが,その成績は満足すべきものでなく,現在広く使用されるにいたつていない.われわれの教室においては,丸山が1944年に人型結核菌の菌体溜水加熱浸出液より分離抽出した特異抗原性物質をワクチンとして皮膚結核の治療を行ない,ついでこれを肺結核,B.C.G.潰瘍の治療に応用し,化学療法にはみられない良好な成績を収めてきた.1948年丸山,宗像,武田は上記の特異物質を抗原として結核患者血清に対して沈降反応を行ない,その成績を検討中,0.5%カルボール加生理的食塩水(以下カ食水と略記す)が結核患者血清にほぼ選択的に反応する事実をみいだした.この反応すなわちカルボール反応(以下カ反応と略記す)の臨床的,免疫血清学的研究は昭和23年10月に第1回の発表が行なわれた.爾来本反応に関する10数回の報告と60に達する追試成績は少数の例外を除き,すべてその信頼性の高いことを肯定している.上述のようにカ食水は結核患者血清に対しほぼ特異的に反応するが著者は,かかる反応が同じく抗酸菌に属する癩菌による癩患者の血清に対して,いかなる態度を示すかを検討したところ甚だ興味ある結果を得たので,ここに報告する.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ