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- Deffi Ayu Puspito Sari
- Graduate School of Agricultural Science, Tohoku University
抄録
本研究では,インドネシアのコメと畑作物に焦点を当て,環境変化や価格変動に対する農家経済行動を分析した.まず,単収変化を作付面積の変化と生産量の変化に分離し,エルニーニョ現象時の作付面積の変化を分析した.次に,作付面積と市場価格との関係を時系列モデルから特定し,市場価格が作付面積に与える影響を定量的に分析した.その分析結果を,既存の作付体系や流通制度の視点から考察を行った.<br> 分析の結果は以下のとおり.第一に,作物の単収はエルニーニョ発生時に減少する傾向が見られるが,その影響は農家が事前に作付面積を減少させることによって大きく緩和されていることが明らかになった.特に,トウモロコシ,ジャガイモ,落花生,コメで作付面積の減少率が大きかった. 第二に,過去の市場価格や別の作物価格などが様々な形で今期の作付面積に影響を及ぼしていることが明らかになった.コメ,大豆,トウモロコシなどの主要作物では,作付面積と市場価格との間に正の関係が認められたのに対し,落花生,サツマイモ,ジャガイモではそのような関係は確認できなかった.畑作物の一部では,ジャカルタでの市場情報が農村部まで届かず,農家の作付行動に影響を与えていないことを示唆している.<br> 畑作物の生産振興を図るためには,市場流通制度を整備し,畑作物にも価格インセンティブを付与することが重要である.また,畑作物の市場流通は食品産業やアグリビジネスへの需要に応えるためにも重要になっており,付加価値の向上にも寄与することが期待されている.
収録刊行物
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- 東北農業経済研究
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東北農業経済研究 28 (2), 30-37, 2010
東北農業経済学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205739688064
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- NII論文ID
- 130003398008
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- ISSN
- 21874727
- 02857537
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可