この論文をさがす
抄録
Stem cell factor(SCF)は,KIT受容体に結合することにより,メラノサイトの増殖,分化,メラニン産生を刺激する.ヒト毛乳頭細胞(dermal papilla cells,DPC)はSCFを合成,分泌する能力を持ち,SCFを介して毛母のメラノサイトの増殖やメラニン合成を調節している可能性が考えられている.我々はヒト正常毛包より得られたDPCを培養し,それを各種サイトカインで刺激して培養上清中のSCFの変化を調べた.DPCによるSCF分泌はbasic fibroblast growth factor(bFGF)で刺激され,transforming growth factor-β(TGF-β)で著明に抑制された.TGF-αとinterleukin-1はSCF分泌に影響を与えなかった.免疫組織化学染色により,DPCにおけるSCF,bFGF,TGF-βの発現が,in vivo,in vitroともに確認された.以上の結果から,これらのサイトカインがautocrine,paracrine的に,毛乳頭におけるDPCの増殖やDPCによるSCF産生に加え,毛母におけるメラノサイトの増殖やメラニン合成をコントロールしている可能性が考えられた.
収録刊行物
-
- 日本皮膚科学会雑誌
-
日本皮膚科学会雑誌 110 (14), 2191-, 2000
公益社団法人 日本皮膚科学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205740237312
-
- NII論文ID
- 130004681248
- 10008118664
-
- NII書誌ID
- AN00196602
-
- COI
- 1:CAS:528:DC%2BD3MXltlaqsw%3D%3D
-
- ISSN
- 13468146
- 0021499X
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可