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説明
円形脱毛症の病因は明らかでなく,さまざまな説があるが,自己免疫疾患としての側面もみられる.今回,円形脱毛を主訴に当科を受診した患者47例に対し抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(以下TPOAb)を測定した.47例中14例(29.8%)でTPOAbは陽性で,このうち甲状腺機能低下症例はなかった.またTPOAb陰性群33例のうち1例でサイロイドテスト陽性で2例に抗核抗体が陽性であった.TPOAb陽性群は女性に多く,陰性群に比べ高年齢であった.またTPOAb陽性群の脱毛型は単発型が1例もみられず,多発型が多い傾向がみられた.TPOAbは自己免疫性甲状腺疾患で陽性となりやすい自己抗体であるが,従来のマイクロゾームテストなどに比べ感度に優れている.またTPOAb測定の有用な点は定量可能なことで自験例でも脱毛症状の改善に平行して抗体価が低下した症例があり,経過フォローに適していた.このようなTPOAb陽性脱毛症患者では内分泌異常でなく,自己免疫異常が病因として考えられる.
収録刊行物
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- 日本皮膚科学会雑誌
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日本皮膚科学会雑誌 110 (7), 1129-, 2000
公益社団法人 日本皮膚科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205740313344
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- NII論文ID
- 130004681288
- 10007724406
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- NII書誌ID
- AN00196602
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- COI
- 1:CAS:528:DC%2BD3cXkslarsLo%3D
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- ISSN
- 13468146
- 0021499X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可