外毛根鞘癌17例の臨床および組織学的検討

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外毛根鞘癌17例について臨床および組織学的検討を行った.患者の年齢は57歳から90歳(平均76歳)で高齢者が多く,男女比は6:11と女性に多かった.原発巣の部位は顔面5例,頭部4例,下肢4例,その他3例と,これまでの報告どおり顔面・頭部に多いほか下肢にも多くみられた.臨床像では表面が糜爛し,湿潤した結節が10例と最も多く,このうち4例は有茎性であった.ついで,表面が角化あるいは鱗屑を付した結節が4例,表面の大部分が平滑な結節が2例,肉芽様局面が1例の順であった.組織学的分類では17例中6例がmalignant proliferating trichilemmal tumor(MPTT),3例がmalignant trichilemmoma in situ(MT in situ),8例がmalignant trichilemmoma invasive(MT invasive)であった.転移は浸潤癌14例中5例(35.7%)に生じ,これは当科で同一期間に経験した有棘細胞癌の転移の頻度10.0%(90例中9例)に比べ,有意に高かった.しかし,MPTTとMT invasiveとでは転移の頻度に差はなかった(それぞれ33.3%,37.5%).転移巣の組織像はすべての症例において原発巣と同じ組織像を呈していた.以上の結果から,真皮内に浸潤した外毛根鞘癌は通常の有棘細胞癌と異なり高頻度に転移を生じる悪性度の高い腫瘍であること,また,転移巣は原発巣と同程度の分化を示すことが確認された.現在,外毛根鞘癌の分類は混乱しているが,転移の頻度からみて,表皮内外毛根鞘癌と浸潤性外毛根鞘癌の2者を明確に区別することが最も重要であると考えられた.

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