Markel Cell Carcinomaの1例 抗keratin抗体の診断における有用性

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抄録

症例は83歳の女性.左0・狽ゥら左耳前部にかけて8×5×4.5cm大の赤褐色,弾性硬,カリフラワー状の腫瘤が存在し,表面に壊死組織が付着し悪臭を放っていた.各種抗keratin抗体,特にKs20.8.での免疫組織化学的所見で核近傍に封入体状の陽性所見を認めたため,Merkel細胞癌(以下MCC)と診断した.治療はLineac照射を行い,一時原発巣の消失を認めたが,約3ヵ月後に局所の再発と全身転移を来たし,初診の約15ヵ月後に死亡した.剖検標本の電顕所見ではdesmosome様の構造や有芯顆粒を認め,核近傍のintermediate filamentの集塊は抗keratin抗体で陽性に染色される封入体様の構造物と同一のものと思われた.近年MCCにはkeratinの発現がみられることが報告されている.抗keratin抗体の種類によっては免疫染色が陰性になることもあるが,単層上皮型keratinやCK20に対する抗keratin抗体を用いた免疫組織化学染色では核近傍に封入体様のMCCに特徴的な陽性所見が認められる.これらの所見はホルマリン固定,パラフィン包埋した検体からも検索可能であることから,いくつかの抗keratin抗体による免疫組織化学的検索はMCCの診断上簡便でしかも有用な方法と考えられた.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205740639744
  • NII論文ID
    130004680843
  • DOI
    10.14924/dermatol.105.1445
  • ISSN
    13468146
    0021499X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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