-
- 阿部 彩
- 国立社会保障・人口問題研究所
書誌事項
- タイトル別名
-
- Affluence and Poverty : Relative Poverty of Children in Japan
- 「 ユタカ サ 」 ト 「 マズシサ 」 : ソウタイテキ ヒンコン ト コドモ
この論文をさがす
説明
日本の子どもの相対的貧困率は16%であり,約6人に1人が相対的貧困状態にあると推計される。しかしながら,この相対的貧困の概念については,研究者らも含め殆ど知られておらず,この数値の意味するところが理解されていないのが現状である。本稿では,子どもの相対的貧困率の現状と動向を把握した上で,「豊かさ」と「貧しさ」という観点から,相対的貧困と絶対的貧困の概念の違いを明らかにする。また,一般市民の貧困の概念が,絶対的貧困や物質社会に反抗する精神論に強く影響されており,それが現代における貧困(相対的貧困)の議論の本質を見えにくくしている点を指摘した。最後に,相対的貧困が,どのようにして子どもの健全な育成を妨げているかについて,一つは相対的貧困にあることが子ども自身の社会的排除を引き起こすリスクが高いこと,二つが,子どもが相対的貧困の状態であるということは,親も相対的貧困状況にあるということであり,貧困が親のストレスを高め,親が子どもと過ごす時間を少なくし,孤立させることにより,厳しい子育て環境に置かれていることを指摘した。「豊かさ」や「貧しさ」は相対的な概念であり,たとえ豊かな社会であっても相対的貧困にあることは大きな悪影響を子どもに及ぼす。
収録刊行物
-
- 発達心理学研究
-
発達心理学研究 23 (4), 362-374, 2012
一般社団法人 日本発達心理学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205740751488
-
- NII論文ID
- 110009579025
-
- NII書誌ID
- AN10229548
-
- ISSN
- 21879346
- 09159029
-
- NDL書誌ID
- 024158416
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可