夫婦間葛藤への対処における譲歩の機能 : 新婚女性によって語られた意味づけ過程に焦点を当てて

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Compromise on Management of Marital Conflicts : Newlywed Women's Process of Meaning-Making.
  • フウフ カン カットウ エ ノ タイショ ニ オケル ジョウホ ノ キノウ シンコン ジョセイ ニ ヨッテ カタラレタ イミヅケ カテイ ニ ショウテン オ アテテ

この論文をさがす

抄録

対人葛藤において一方的に譲歩することは,現実的な問題解決に結びつかないその場しのぎの対処でしかないのだろうか。本研究では,対処する個人の意味づけに注目し,特に長期的継続を望む関係においては望ましくないとされてきた譲歩的な対処の意義と働きについて検討することを目的とした。この点について明らかにするため,特に夫婦関係に焦点を当てた。具体的には21人の新婚女性を対象に,日常生活の中で経験した夫婦間葛藤についてのインタビュー調査を行った。分析1では夫婦間葛藤のきっかけの分類を行った。分析2では,報告された葛藤への対処の仕方を,主張的対処,協調的対処,譲歩的対処という3つのカテゴリーに分類した。また,対処の選択理由や自身の行った対処への評価という意味づけの側面に注目し,譲歩的な対処の日常場面における意義を探った。その結果,譲歩的対処にはその場の情緒状態が険悪になるのを避けるという情緒調整の役割があることが確認された。加えて譲歩的対処は,日常生活の制限の中で用いやすい対処であると積極的に意味づけられており,夫婦関係を維持する上で有効であると捉えられている場合があることが明らかになった。また,譲歩的な対処をポジティブなものとして用いる場合には,折り合いをつけるという意味づけの過程があり,この過程の中で,葛藤内容や自身,相手についての熟考や再解釈が行われることから,譲歩的な対処の意義が明らかになった。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 17 (1), 1-13, 2006

    一般社団法人 日本発達心理学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ