「個」と「関係性」からみた青年期におけるアイデンティティ : 対人関係の特徴の分析

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タイトル別名
  • Individuality-Based Identity and Relatedness-Based Identity : An Analysis of the Characteristics of Adolescent Interpersonal Relations
  • コ ト カンケイセイ カラ ミタ セイネンキ ニ オケル アイデンティティ タイジン カンケイ ノ トクチョウ ノ ブンセキ

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抄録

本研究では,近年重要な視点として取り上げられている「個」としてのアイデンティティと「関係性」に基づくアイデンティティから青年理解を試みた。研究Iでは,大学生175名を対象にして,先行研究を参考に「個」と「関係性]の視点を含む新たなアイデンティティ尺度を作成した。因子分析の結果,3因子15項目からなる「個」としてのアイデンティティ尺度と,3因子13項目からなる「関係性」に基づくアイデンティティ尺度が構成された。しかし,「個」としてのアイデンティティと「関係性」に基づくアイデンティティとを完全に分離することは難しいことが示された。研究IIでは,大学生295名を対象にして,作成した2つの尺度の妥当性と信頼性を検討した。作成した尺度を用いてクラスタ分析を行ったところ,4つのクラスタが抽出された。その後,対象者のうち20名を対象にして,対人関係に関する質問項目からなる半構造化面接を行い,4クラスタの実際の対人関係に見られる相違を検討した。結果の整理にはKJ法を用い,最終的に各クラスタ3〜5個のカテゴリーが抽出された。それらを比較・検討した結果,青年期のアイデンティティにおける「個」の側面は,自他の融合感の少なさと幅広い他者との関係を求める傾向として表れること,「関係性」の側面は,他者を自己とは独立した存在として認識し,親密な関係を築くことができる傾向として表れることが明らかになった。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 19 (2), 108-120, 2008

    一般社団法人 日本発達心理学会

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