妊娠中期子宮頸管長の早産予知に関する有用性

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タイトル別名
  • LENGTH OF CERVIX AT 16–24 WEEKS OF GESTATION AS RISK EVALUATION OF PRETERM DELIVERY
  • ニンシン チュウキ シキュウケイ カンチョウ ノ ソウザン ヨチ ニ カンスル ユウヨウセイ

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抄録

早産予知を目的とした子宮頸管長計測の有用性は周知のことであるが,本邦における大規模データは皆無に等しい.そこで日本人の妊娠中期の平均頸管長を求め,さらに頸管長計測が切迫早産症例のscreening検査として有用か否かを検討する目的で本研究を行った.2008年1月から2011年12月に当院で妊娠初期からの健診と分娩管理を行った単胎1184例を対象とした.患者情報および妊娠16~19週と20~24週の頸管長データと分娩予後を周産期データベースと診療録から後方視的に調査した.本研究は院内の倫理委員会の承認を得て実施した.対象全体の平均子宮頸管長は40.1±7.4(mean±SD)mm(16~19週)と38.2±7.8mm(20~24週)で,平均分娩週数は38.6±2.4(mean±SD)週,早産率は5.9%,35週未満早産は2.4%だった.経産婦,早産既往,中絶歴,BMI<18.5で20~24週の頸管長に短縮傾向を認めた.35週未満の分娩の有無で平均頸管長を比較すると37.1±8.9mm v.s. 40.2±7.3mm*(16~19週)と32.7±12.6mm v.s. 38.3±7.6mm*(20~24週)であった(*p<0.05).頸管長のcut off値を諸外国でよく用いられている25mmとすると,妊娠16~19週と20~24週における35週未満早産の相対リスク(95%CI)はそれぞれ,5.8(1.5~22.1),7.4(3.3~16.4)であり,感度は6.9%,24.1%,特異度は98.9%,96.4%,陽性的中率は13.3%,14.3%であった.35週未満の早産例で妊娠20週未満と以後の両方の頸管長に統計学的に有意な短縮傾向を認めた.頸管長のカットオフ値を25mmにすると,カットオフ値未満の症例では早い週数に分娩になる傾向を認めた.しかし早産に関する感度と陽性的中率は共に低く,頸管長計測は早産ハイリスク症例抽出の一助にはなるが,頸管長のみによるスクリーニングでは不十分で,早産予防の取り組みにおいては他の関連因子も合わせて検討することの重要性が示唆された.

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