思春期・青年期の広汎性発達障害者における自己理解

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タイトル別名
  • Self-Understanding among Adolescents with Pervasive Developmental Disorders
  • シシュンキ セイネンキ ノ コウハンセイ ハッタツ ショウガイシャ ニ オケル ジコ リカイ

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抄録

本研究は,思春期・青年期における広汎性発達障害(以下,PDD)者が自己をどのように理解しているのかを明らかにすることを目的とする。22名のPDD者と880名の定型発達者を対象に,自己理解質問(Damon & Hart,1988)を実施し,得られた回答を自己理解分類モデル(SUMPP)に基づき,領域,対人性タイプ,肯否の3つの側面において分類した。その結果,(1)PDD者は,他者との相互的な関係を通して自己を否定的に理解し,他者の存在や影響を全く考慮せずに自己を肯定的に理解する傾向にあること,(2)PDD者は,「行動スタイル」の領域における自己理解が多く,その中でも障害特性としてのこだわりに関連する「注意関心」の領域がPDD者にとって自己評価を高く保つために重要な領域であること,(3)PDD者は,自己から他者あるいは他者から自己へのどちらか一方向的な関係のなかで自己を理解することが多く,Wing(1997/1998)の提唱する受動群や積極奇異群との関連が示唆されること,(4)社会的な情勢や事件への言及がPDD者の自己理解において重要である場合があることなどが明らかにされた。

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 22 (3), 215-227, 2011

    一般社団法人 日本発達心理学会

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