脳血管障害患者に対する自動車運転再開プログラムの運用と問題点について

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  • Problems in supporting the resumption of driving for the stroke patients.
  • ノウ ケッカン ショウガイ カンジャ ニ タイスル ジドウシャ ウンテン サイカイ プログラム ノ ウンヨウ ト モンダイテン ニ ツイテ

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抄録

脳血管障害患者が社会復帰を果たすうえで、自動車運転は重要な手段である。自動車運転にむけて訓練を行い、運転可否を客観的かつ正確に判断するために自動車運転再開プログラムを立案し、運用した。運用の実際を紹介するとともに、解決が必要な問題点を報告する。脳血管障害後に自動車運転再開を希望する対象者は男性4人、平均年齢は58.7±11.0歳であった。脳血管障害後遺症による認知機能低下が1人、高次脳機能低下が3人であった。まず対象者と家族には、自動車運転再開プログラムの概要と手順を説明した。院内においては高次脳機能障害や認知機能に対する神経心理学的検査などに基づく評価が行われた。医師の診断書作成後、公安委員会での臨時適性検査において、運転可否が判断された。希望者に対しては、近隣自動車教習所における自由教習(実車評価)が実施された。更に医師や家族とともに、最終的に運転可否を含めた指導が行われた。公安委員会では、神経心理学的評価の有無に関係なく診断書、臨時適性検査の結果で、全4人が運転可能 (条件付け2人)となった。一方、医療機関での判断では、実際に運転可能とされたのは3人(条件付け2人)、不可が1人となった。現在、可能とされた3人のうち運転を行っているのは、一連の評価や検査で問題を認めなかった1人のみである。公安委員会では、医師の診断書、本人との面談、質問票の回答内容、臨時適性検査結果で運転の可否が判断された。しかし、院内での診察や神経心理学的評価結果に基づいて行われた判断と異なることがあった。公安委員会では高次脳機能や認知面の詳細な情報が加味されないことが原因と考える。今後は、医療現場における患者の評価結果を公安委員会や実車訓練を行う教習所などと共有し、患者の運転適性を正確に判断する必要があろう。

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