炎症性疾患における好中球新規パラメーター(NEUT-X,NEUT-Y)の解析

  • 河野 浩善
    地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立広島市民病院臨床検査部
  • 三好 夏季
    地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立広島市民病院臨床検査部
  • 井上 芳彦
    地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立広島市民病院臨床検査部
  • 野田 昌昭
    地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立広島市民病院血液内科
  • 兼丸 恵子
    地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立広島市民病院臨床検査部
  • 飯伏 義弘
    地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立広島市民病院臨床検査部

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of new parameters (NEUT-X and NEUT-Y) of neutrophils in inflammatory diseases

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説明

炎症性疾患における好中球新規パラメーター(NEUT-X,NEUT-Y)と中毒性顆粒との関係について報告はあるが,敗血症の重症度を反映する空胞変性との関係については未だ報告がない。そこで,今回,我々は炎症性疾患におけるNEUT-X,NEUT-Yについて,好中球形態を含め,改めて多角的に解析した。その結果,健診群に比べNEUT-X,NEUT-Yともに患者群の方が有意に高値を示し,炎症性マーカーであるPCT,CRPとは有意な相関関係を認めたが,白血球数,好中球数とは認められなかった。また,中毒性顆粒や空胞変性は,細胞内構造の複雑さとしてNEUT-Xに,好中球回転の短縮による未成熟好中球の動員は,細胞内RNA量の増加としてNEUT-Yにそれぞれ反映されていた。一方,血液培養検査の結果では有意差を認めず,NEUT-X,NEUT-Yは細菌感染を直接反映するものではなく,あくまで炎症に対する好中球の変化を捉えていることが分かった。さらに,今回の検討では,敗血症の重症度に順じてNEUT-X,NEUT-Yともに高値傾向を示した。NEUT-X,NEUT-Yは診断感度,特異度ともに十分とは言えなかったが,多項目自動血球分析装置から得られる迅速性,簡便性に優れた客観的データであり,敗血症重症度の鑑別にも一定の有用性を認めたことから,敗血症診療の一助となる可能性が示唆された。

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 64 (1), 40-47, 2015

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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