前医で投与されたCeftriaxoneにより発症した偽胆石症―超音波検査が診断・経過観察に有用であった8歳女児の1例―

書誌事項

タイトル別名
  • Interesting case of biliary pseudolithiasis due to ceftriaxone administered by a primary care doctor in 8-year-old girl: Usefulness of ultrasonography in diagnosis and evaluation of clinical course

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説明

症例は8歳女児で,当院受診二日前に発症した発熱,C-reactive protein(CRP)及び白血球数(WBC)高値に対し,前医でCeftriaxone(CTRX)を1.5日間に計3 g投与された.しかし,CRP,WBC値は低下せず,尿検査にて白血球3+を認めたため,精査加療目的で当院紹介となった.CTRXが奏功していると判断され,入院時にさらに1 g投与された.すなわち,2日間で計4 gのCTRXが投与された.入院時腹部超音波検査(US)及び造影CT検査で急性巣状細菌性腎炎と診断され,Panipenem約100 mg/kg/day分4静注で治療が開始された.入院3日目のUSにて胆嚢内に沈殿する砂状のstrong echo及び浮遊する顆粒状のstrong echoを認め,胆砂と診断された.この胆砂は入院時USでは認めていないことから,一過性に形成されたと考えられ,偽胆石症を疑った.しかし,入院後はPanipenemを使用していたため,担当医にCTRXの使用歴がないか確認したところ,入院前に前医でCTRXが投与されていたことが判明した.入院12日目のUSにてこの胆砂が消失したことを確認した.偽胆石症は比較的まれな疾患であり,CTRX投与後に多く発症することが知られている.特に小児において胆石・胆砂を認めた場合は,偽胆石症を念頭にいれ,自施設の投薬歴だけでなく前医での投薬歴の聴取も必須である.

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 63 (6), 719-724, 2014

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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