我が国の医工学が連携した交通事故ミクロ調査の在り方

  • 本村 友一
    日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター
  • 吉富 有哉
    日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター
  • 平林 篤志
    日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター
  • 松本 尚
    日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター
  • 益子 邦洋
    日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター

書誌事項

タイトル別名
  • In-depth investigation of traffic accidents with joint medical and engineering efforts in Japan
  • 真実を掴まずして世界一の安全はなし
  • Assimilating the details of accidents and injuries is essential for developing a safe road traffic environment

説明

交通事故による「死傷者ゼロ」を目指した際限なき安全追求は道路交通社会に関わる全ての者の使命である。(1)「事故予防と傷害軽減策」、(2)「傷害発生時の救急医療」が重要で、どちらも現実の事象を詳細かつ正確に掌握し、蓄積し、分析し、科学的で客観的な対策を講じるべきだ。「事故予防と傷害軽減策」のため「我が国の医工学が連携した交通事故ミクロ調査の在り方」について以下のように提案する。①明確な基準を満たした交通事故の発生直後の現場で安価な調査を行うべき ②外傷診療に特化した病院を拠点とした調査体制にすべき ③死因究明のための死後CTおよび解剖システムを構築すべき ④事故の工学情報、患者の医学情報、死亡例の死後CTと解剖の情報をリンクさせ、データベース化し公開し、我が国の研究者の共有財産にすべき また、傷害発生時の救急医療においてAACN(advanced automatic collision notification)は、交通事故発生後の救急医療における時間短縮に有用であり、救命に繋がりうる。AACNの肝は「衝撃の特性」と「傷害緊急度および重症度判定」を結びつけるアルゴリズムで、自動トリアージの精度向上のため、高質かつ多数の交通事故ミクロ調査とデータベース構築が必要である。真実を掴まずして世界一の安全はない。実社会で発生しているミクロ調査を施行しデータベースを作成し、国内研究者の総力を結集して我が国の道路交通社会の安全性の向上を目指さなければならない。そのためには、交通事故直後の調査システム、外傷に特化した病院を事故調査の基地とし、工学者が常駐すること、死後CTと解剖の活用による死因究明システム、調査情報のデータベース化とフリーアクセス化が重要である。さらに、万一の事故と受傷の際には、AACNを積極活用する救急医療システム改革が必要であり、実用化に向けた課題の解決に努めなければならない。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205742654080
  • NII論文ID
    130006410126
  • DOI
    10.24597/jcts.12.2_36
  • ISSN
    24334545
    21883874
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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