交通事故死者の損傷部位と重症度評価における死後CTの有用性

  • 高橋 直也
    新潟市民病院 放射線診断科
  • 樋口 健史
    新潟市民病院 放射線診断科
  • 木口 貴雄
    新潟市民病院 放射線診断科
  • 広瀬 保夫
    新潟市民病院 救命救急・循環器病・脳卒中センター
  • 山内 春夫
    新潟大学医学部医学科地域疾病制御医学専攻 地域予防医学講座法医学分野
  • 高塚 尚和
    新潟大学医学部医学科地域疾病制御医学専攻 地域予防医学講座法医学分野
  • 舟山 一寿
    新潟大学医学部医学科地域疾病制御医学専攻 地域予防医学講座法医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • The value of postmortem computed tomography in trauma victims with traffic accident-related injuries
  • コウツウ ジコシシャ ノ ソンショウ ブイ ト ジュウショウド ヒョウカ ニ オケル シゴ CT ノ ユウヨウセイ

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抄録

目的:交通事故死における死後CTの診断能を検証する。方法:交通外傷にて当院救急外来に搬送後に死亡あるいは死亡が確認され、死後CTが撮像された51例(男性33例、女性18例、平均57.4歳)を対象とした。内訳は、歩行者20例、自転車あるいはバイク運転手12例、自動車運転手あるいは同乗者19例であった。29例は16列多検出器CTにて、22例は64列多検出器CTにて検査を行った。CTで検出されたすべての外傷所見を、Abbreviated Injury Scale(AIS)を用いてコード化した。AISに基づいて、Injury Severity Score(ISS)を算出した。解剖が行われた症例はなかった。結果:死後CTにて、237外傷部位(AIS 1:5, AIS 2:52, AIS 3:78, AIS 4:37, AIS 5:43, AIS 6:22)が検出された。骨折、血胸、腹膜腔血腫、後腹膜血腫などの多量出血、および気胸や気脳症などの体腔内ガスは、明瞭に描出された。全例で少なくとも1身体部位にAIS 3(重症)以上の損傷(最大AIS 3:3例、4:7例、5:21例、6:20例)が認められた。ISSは、歩行者で13から75、自転車あるいはバイク運転手で13から75、四輪車搭乗者で25から75であった。死後CTで認められた損傷は、頭頸部(68所見)、胸部(80所見)に多く存在した。AIS 3(重症)以上の損傷も頭頸部(64所見)、胸部(65所見)に多かった。複数身体部位の損傷は44例で認められ、40例ではAIS 3(重症)以上の損傷が複数身体部位に認められた。結論:死後CTでは、骨折、出血、気胸、体腔内ガスが明瞭に認められ、AISを評価することは可能であった。損傷を明瞭に描出できる死後CTは、交通事故死の評価に有用である。

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