血液培養から<i>Pseudomonas aeruginosa</i>のヘミン要求性Small-Colony Variantを検出した1症例

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  • Characterization of the first hemin-requiring <i>Pseudomonas aeruginosa</i> small-colony variant isolated from the blood of a patient with double pneumonia

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抄録

<p>発育にへミンを要求するPseudomonas aeruginosaのsmall-colony variant(SCV)が両側肺炎患者の血液培養から分離された。血液培養の培養液のGram染色では形態的にHaemophilus属を推定する多型性のグラム陰性桿菌を認めた。本菌は発育が遅く,ヒツジ血液寒天培地とチョコレート寒天培地には小型コロニーを形成するが,血液成分を含まないMacConkey寒天培地には発育を認めなかった。またTSI培地にも発育を認めず,オキシダーゼ試験陽性,アシルアミダーゼ試験陰性であった。さらにX因子(へミン)・V因子(NAD)要求性試験では,X因子(へミン)要求性を示した。自動同定検査装置バイテック2では正確な同定に至らず,質量分析法および16S rRNAシークエンス解析で,P. aeruginosaと確定した。P. aeruginosaのへミン要求性SCVを検出した症例は,調べた限り本症例が初報告である。本菌株は典型的なP. aeruginosaの性状とは乖離を認め,同定に苦慮した。SCVsは持続性・再発性の感染症を引き起こすが,非典型的な性状ゆえに誤同定される可能性がある。適切な治療を選択する上で,SCVsの正確な同定が重要であり,同定方法については質量分析や遺伝子検査が有用であると考える。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 67 (1), 99-104, 2018

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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